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(189) 東京平版株式会社

置版フィルムのデータ化サービスで新規需要開拓

畠山 明久氏

営業部営業2課課長
畠山 明久

製版会社や印刷会社で保管している置版フィルムを、再び印刷で使用するにしても、高品質なデータにしておくと、CTP出力にするにしても、二次利用がしやすくなる。そこで、東京平版株式会社は一昨年から置版フィルムのデータ化サービスを開始した。単にスキャナで取り込みデータ化するのではなく、色調修正、画像修正、素材切り出し、データ加工などのサービスを行い、高品質に仕上げて納品し、リピーター創出、新規顧客開拓に繋げている。同社の置版フィルムデータ化サービスについて取材した。製版会社に相応しい新サービスと言えるもので、当業界としては大いに参考になるだろう。

東京平版株式会社
東京都新宿区箪笥町8番地
http://www.tokyoheihan.co.jp/
http://film-scan.net/

置版フィルムのデータ化サービスで新規需要開拓

同社が置版フィルムのデータ化サービスを始めるに当たって、一昨年、導入したのが「SCAMERA Artwork NL-SCAN/B2」である。同機種はフィルムの網点をそのままの形状でスキャニングする「コピードット」(解像度2,400dpi、顧客のRIP環境、CTP出力解像度に合わせて設定可能)と、フィルムの網点をスキャニングしたのち連続階調の画像化処理をする「ディスクリーニング」(解像度は基本的には350dpi)の2つの機能を有しており、置版フィルム用に特化したフィルムデータシステムである。

「取引先から置版フィルムを何とかデータ化できないかという話がありましたので、この機械を導入して対応することにしました」と、当初は自社の顧客のために始めたサービスだったと佐々木幸太社長は言う。

しかし、デジタルワークフローになったことで刷版や訂正ができなくなって困っている印刷会社が多いことが分かり、データ化をビジネスにすることにした。今や全国からコンスタントに受注があるという。

事業化で大事なことについて佐々木社長は、「機械を導入しホームページで案内すればお客様が付くということはありません。事業にするならば、お客様を継続的に獲得し売上を上げていく必要があります。当社では事前準備として、販売や営業活動の仕方について時間をかけて取り組みました。それが功を奏していると思います。パンフレットの制作はもちろんのこと、独自のドメインを取得してWebサイトを制作し詳細な内容を記しました。サイズ別の1版ごとの基本料金からフィルムに付着したゴミ取り料、各種データ加工料などを明記しています。様々なお問い合わせに即答できるようにしました」と、事前準備の大切さを訴える。

同社ならではの取り組みとして、「スキャメラ見学会」を随時実施し、実機のデモ、置版フィルムのデータ化のメリットを伝えて、関心を持ってもらうことで、新規顧客の獲得に繋げていった。当初は東京都印刷工業組合の機関誌に見学会の案内を出して、組合員の印刷会社に見学に来てもらったとのことだ。今でもWebサイト上に見学会の募集を随時しており、新規顧客獲得に向けて余念がない。

「昨今は置版フィルムのデータ化はかなり進んでいますが、眠っている置版フィルムはまだありますから、営業では状況を尋ねて、データ化していないフィルムがあれば常にご相談に応じています。データ化した後に自社でデータ加工されるのかどうかなど、ヒアリングを行い、お客様にとって何が最も使いやすいのか最適な方法を選んで提案しています」と、営業部営業2課の畠山明久課長は言う。

同社はアナログ製版から培った製版技術を持っているため、高品質なデジタルデータにすることを信条としている。基本作業では、画像を見ながらフィルムに付着したゴミを丁寧に取り除くほか、オプションとして「色調合わせ」「画像修正」「文字差し替え」「改版・ローカライズ作業」「台割変更・判型変更」「素材切り出し」など、様々なデータ加工を施している。

「スキャメラによるデータ化サービスは、事業計画を立てて高品質なデータ化サービスを行い、トータルでサポートしていく体制がなければ成り立ちません。そして何より重要なのは日々の営業だと思います。お陰様で現在100社以上のお客様のデータ化の仕事をさせていただいています」(畠山課長)と説く。同社では、この高品質なデータ化サービスによって新規の製版・印刷受注に繋がっているとのことで、相乗効果を発揮している。

高品質のデータ加工サービスが信頼されて新規製版・印刷の受注に繋がる

「SCAMERA Artwork NL-SCAN/B2」
「SCAMERA Artwork NL-SCAN/B2」
フィルムスキャンし取り込んだデータを、画面を見ながら丁寧にゴミ取りの作業を行う
フィルムスキャンし取り込んだデータを、画面を見ながら丁寧にゴミ取りの作業を行う