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(170) オフィス六・7

オリジナルのトートマップ・マップマグ商品で個人・法人客を掴む

代表
庄井 早苗

消費者自身が住んでいる街や勤務先周辺の地図を絵柄にした商品を販売しているのがオフィス六・7である。代表の庄井早苗さんは六本木で生まれ六本木で育った。7年前に六本木に訪れた地方の観光客の想い出にと、六本木の地図をデザインにしたトートバックを販売したところ好評を博した。以後、地図をデザインにした商品を自ら製作し販売を開始し、今では日本や海外のさまざま街の地図をプリントした商品で事業を拡張している。通販と注文生産の2本柱でビジネス展開しているが、そんな庄井さんのマップ商品ビジネスについて取材した。

オフィス六・7
本社:東京都港区六本木7-21-2
http://totemap.com

自らソフトを操作して地図をデザイン制作し、顧客のニーズに応える

オフィス六・7は、「Yahoo! ショッピング」に出店、各種展示会への出展、オリジナル商品制作と、多角的に経営しているが、実際は庄井さんの個人事業のため孤軍奮闘の日々だという。

『totemap® mapmug®』をロゴに、『日本を持って歩こう。日本に入れて飲もう。』をキャッチフレーズに、日本や海外の街の地図柄をプリントしたグッズの製作販売をビジネスにしている。

「六本木に訪れるお客様に、六本木に来たという証として、また、お土産として、六本木の地図をデザインした商品が喜ばれるのではないかと思って、トートバックを作ったのがきっかけです」とマップ商品開発の経緯を語る。

現在、トートバックはキャンバス地、PVC素材、エコバック等と、種類・サイズが増えている。さらに、ポーチ類、各種マグカップ、Tシャツなどの商品もラインアップし、「Yahoo! ショッピング」で販売している。

オリジナル商品の制作工程で大事なことは、「どのような地図をイメージされていて、どのように使われるのかを聞き出すことです」という。肝心の地図のデザインは、以前、デザイン事務所にコピーライタ―として勤務していた時に、傍でデザイナーの仕事を見てなんとなく理解した程度だという。ただ、好きこそ物の上手なれとはよく言ったもので、今ではれっきとしたデザイナーとして制作に臨んでいる。

「地図には著作権の問題がありますから、既存の地図をそのまま使うことはできません。トレースはしますが、アレンジして、地図内に建物や観光地、人、木などを配置して加工します。ソフトウェアはAdobe Illustratorを使っています」とのことだ。

「制作で大事なことは、拘りを持っているお客様が多いですから、地図や文字についてしっかりと確認してもらい、了解を得ることです。後からイメージしたものと違った言われることのないようにしたいですからね」。

とにかく、問い合わせから企画提案の営業、デザイン制作、経理業務、製作業者への手配、在庫管理など、全て一人で対応している庄井さん。孤軍奮闘の日々を送っている。オリジナル商品を一件ずつデザイン制作までこなすわけであるから、いかに大変であるかは想像に難くない。「通販で売っている商品は、できるだけ価格を抑えているので利益はほとんどありません。一人一人のお客様にきめ細かく対応させていただくことで、少しずつファンが増えていけば良いかと思っています」。

今日、海外からの訪日客が増えてインバウンドビジネスが盛んであるが、日本の地図をデザインした商品の販売は、一定数の売上が見込める市場かもしれない。「インバウンド事業も視野に入れていますが、オリジナル商品については地方に根ざしているお客様が“郷土愛”として注文されたり、法人のお客様からは、販促品や記念品として発注されたりするケースが多いです。どちらかと言えば、日本のお客様が主体でしょうか。リピーターになっていただけるお客様も増えています。ただし、通販サイトの広報宣伝を強化していませんから、国内外ともになかなか見つけていただけないという状況です」と、近況を語る。

しかし、オリジナルの地図をデザインした商品は、一定の根強い人気があるものだ。実際、リピーターが増えているのも、庄井さんのデザインに惹かれたからに他ならない。ビジネスでは商品化するアイデアとデザイン力が、いかに大切であるかを改めて知らされた。

顧客への気配りを重視し、付加価値の高い商品でリピーターを増やす


丈夫なキャンバス地で作られたトートマップの各商品

世界の都市(英語)のマップマグも販売

掲載号(2015年6月号)を見る