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株式会社ワトム■印刷会社を支援するために新しい事業を開拓

DTP、Webサービス、ARアプリ開発とメディア制作だけでなく、オリジナル紙製VRゴーグルまで多岐にわたって事業展開している株式会社ワトム(代表取締役桜井賢一)。今年新たに1冊・1部から上製本を作るサービスを開始した。新しい事業に次々と取り組むことで顧客の印刷会社をサポートしている。ディレクターの久保元氏に上製本・並製本サービスを中心に話を伺った。


ディレクター
久保 元氏(GC東京)

 

 

 


1冊・1部から上製本を作るサービスを開始

久保ディレクターは、先代の社長の時代から40年近くにわたって同社を支えてきたパーソンである。上製本サービスでは責任者として業務を一手に担っている。

「1冊・1部から製本する」というキャッチコピーの下で進めている製本サービスは、出版コードがなく書店にも並ばない個人のブログの原稿をオンデマンド印刷機で印刷し、製本するサービスである。

「システム開発を手掛けている株式会社GNNが、ブログを製本するブログ出版局を運営しているのですが、同社から制作から印刷、製本、発送までの事業を任せたいと、お声掛けいただき引き受けました」。制作工程は、顧客から送られてきたブログやFacebookのデータを自動組版後、面付されたPDFデータがワトムに設置したサーバにアップされ、社内のオンデマンド印刷機で出力し、上製本や並製本に仕上げて、個々の顧客に宅配するという流れである。

久保氏は「今年になってGNNさんから事業を引き継ぐことになったため、1月に同社に赴きお客様のブログデータがどのように自動組版されるのかを見聞きし、また、並製本・上製本の加工、発送方法まで一連の作業を教えていただきました。2月中旬になってGNNさんから無線綴じ機、小型断裁機、PP加工機、製本関連部品を譲り受けて、3月から事業を本格的にスタートしています」。

ブログ出版事業の仕上がりサイズは四六判と決まっているが、1冊ずつ丁寧に仕上げて、しかもかなり安価で提供している。その他の印刷・製本はB6~A4サイズまで対応している。

同事業は久保氏を中心に2 人体制で運営し、自ら機械を稼働し作業しているとのことだ。印刷に関しては、元々富士フイルムのDocuColor7171Pにオプションの給紙トレイと紙折りユニットを装着してオンデマンド印刷に対応している。

事業開始当初から、ブログ出版局の小ロット印刷・製本の仕事はコンスタントに入ってきている。並製本なら1冊・1部を印刷から製本するのに1時間弱という短時間で行うため作業の負担はそれほどでもないという。上製本は作業後に糊の圧着等時間がかかるので、翌日納品になるとのこと。また、GNNのサーバをそのまま受け継いで社内に設置している。

「お客様からのデータ入稿情報はほとんど毎日サーバにアップされます。面付け済みPDFデータはGNNが組版の最終チェック後、メールにて着手指示をいただき作業開始となります。また、色数、ページ数、製本の仕様等必要情報が受注時に決定して変更がありませんから、入稿時に請求明細ができ上がるシステムなので、月末の請求はチェックのみで済みます」。

アプリ開発など新事業に意欲的に取り組む

ブログ本の上製本・並製本サービスは、いわばBtoCビジネスでマーケティングの仕方次第で期待できる分野である。「お客様は本という形として残しておきたいニーズある他、友人や知人へ寄贈したいという気持ちもあります」と、ブロガーの心理をついた製本ビジネスというわけだ。

「製本加工機が一式揃い、社内一貫作業が可能になりましたので、弊社が得意としている高品質のDTP制作から受けて、デザイン業務からお客様のオリジナル本の制作をしていければと思っています」と、独自の製本市場の開拓に意欲を示している。

また、同社は多岐にわたって事業展開しているのが特徴だ。「弊社では印刷業界のお客様に新しい技術やサービスを提案、利用していただき、販売促進や販路拡大のお役に立ちたいという気持ちで新事業に取り組んでいます」。

桜井社長が得意先や知人との交流を通じて新しいビジネスを見聞きし、それを印刷会社の顧客に提案可能となれば、次々と事業化するというのだ。

10年ほど前からいち早く手がけてきたARアプリ開発、さらには紙製のオリジナルVRゴーグル、メディア以外では、次世代のカーセキュリティー「CAR Control」、産地直送の野菜販売「旬の野菜販売」(産地・群馬県)、大原漁港の朝市「さくら屋台」(千葉県いすみ市)など、他業界のビジネスも積極的に取り入れている。

「CAR Controlは、車の盗難防止対策アプリです。GPS機能で車の現在地を表示して、監視・追跡はもちろん、アプリでエンジン停止が可能です」と、スマホで操作する盗難防止システムで将来性のある商品と言えるだろう。

同社では高品質なデザインのDTPやWeb サイト制作が事業の主体ではあるが、同時にデジタルコンテンツ開発の重要性を認識しアプリ開発にも注力している。「スマホのアプリにタップするだけで、自社のWebサイトや商品にアクセスできますから、アプリによるマーケティングを望む企業が増えています。その市場は今後も伸びていくでしょうから、弊社としてもアプリ開発には注力していく考えです」と、同社では先々を見越して市場性のあるビジネスに意欲的に取り組んでいる。

① 富士ゼロックスのオンデマンド印刷機
② 無線綴じ機
③ 1冊から上製本を制作
④ サーバー(右)に本のPDFデータが送られてくる


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