校正は出版物・印刷物において必要不可欠なものです

校正とは、原稿を印刷物にするまでの途中段階で紙に出力し(校正刷りまたはゲラ刷り)、著者が書いた原稿と比べて、誤字・脱字、誤り、不備などを正す作業のことをいいます。この誤植などを正しく直す人のことを校正者といいます。

校正は、全ての出版物・印刷物の制作工程で必ず行われます。なぜ校正が必要かといいますと、例えば、チラシを作るときに「特上の松阪牛! 400gが2万円」としたかったのを、間違えて「400gが2円」と印刷されてチラシが市場に出回ったらどうでしょうか。その値段で売らざるを得なくなるかもしれません。そうなれば、お店は大損です。間違ったのがだれの責任なのか追及されたときに、たとえ、印刷会社が校正に関与していなかったとしても、間違ったものを印刷したということで、印刷会社は信頼を失うことになるでしょう。

食品なら賠償できる金額で取り返しがつくかもしれませんが、機械や不動産販売など高額なもので、このようなミスプリが発生しますと、クライアントは大変な損害を被ることになります。当然、ミスプリをした印刷会社には二度と発注してくれませんし、多額の賠償責任が発生するかもしれません。

ですから、校正は大切な作業であり、印刷する前にしっかりと行う必要があるわけです。その校正も校正者というプロの目でチェックして、漏れがないようにすることが重要になってきます。書店に並ぶような出版物はもとより、チラシやカタログなど商品を掲載した商業印刷物に関しても、校正者が校正を行うようにしたいものです。校正の重要性を知っているからこそ、大手の出版社や雑誌社では、熟練の校正者が校正を行うようにしています。

校正刷りを「素読み」して著者の誤記を正していく

コンピュータ時代になって「誤植」の意味合いが変わってきました。出版社や印刷会社に納品される原稿がデジタルデータとなり、DTPで組版する際に、レイアウトにデータを流し込む作業が主流になってきました。著者が書いた原稿がそのまま組版されて校正刷りとなって出力されるようになったのです。「活版」や「写植」という、原稿を忠実に復元する作業がなくなったことは、作業の効率化という点では良いことかもしれませんが、著者の原稿に不備が目立つようになったことは、フルデジタル化したことが最大の原因といえるでしょう。

今日の校正作業は、校正刷りに書かれた文字・文章をしっかりと読む「素読み」という作業がポイントになっています。つまり、校正では著者の誤記を見つけるための「素読み」が主流というわけです。著者の書いたものは間違いがないという感覚はもはや捨てなければなりません。著者の原稿の誤りを見落とさないように、念入りな「素読み」が求められてきているのです。

また、コンピュータだからといって、データを忠実に出力するとは限りません。少なくなってきたとはいえ、著者と制作側のコンピュータの機種・OSの違いにより、表外字や約物類に依然として「文字化け」が発生しています。校正では「文字化け」にも注意を払う必要があります。

校正者であるための免許はありませんが、専門職ですから、一般人がなんの知識も持たないで校正作業をすることは無謀といえるでしょう。単に、誤字や脱字を見つけて正すことだけが仕事ではありません。校正記号を使って、後工程に修正しやすい形で渡していく必要があります。

一般企業で働いている人や個人が、校正技能検定の資格を取得する必要はありませんが、校正の仕事がしたいのであれば、出版社や印刷会社に入って、校正の仕事を覚えていくのが一般的です。

確かに「校正士」という資格は存在しますが(文部科学省認定の通信講座)、校正士の資格を取得したからといって、すぐに校正の仕事を請けられるとは限りません。やはり、出版・印刷会社に入って、組版や編集というものが何であるのか、実務を経験しながら校正の仕事もこなしていくというのが基本です。

実務では、出版や印刷に関する知識のほかに、日本語の知識もあります。そして、校正記号を使って校正の記入ができる知識を身に付ける必要があります。校正記号は校正につきもので、理解して使うことが大切ですが、全ての校正記号を完璧に覚えて使いこなさなければならないということはありません。

ページ物における「校正作業」を中心としたワークフロー

ここでページ物を制作するに当たって、校正作業のワークフローを示しておきます。なお、ページ物というのは、コミック誌、雑誌、書籍、会報誌、小冊子、カタログ類になります。

校正作業を中心としたワークフロー

事前に打ち合わせをしてルールを決めておきましょう

企業で「社内報を発行したい」「定期刊行物を出したい」「ステークホルダー向けにCSR報告書を作りたい」と、刊行物の発刊を考えている場合や、また、個人で「自費出版で本を出したい」という気持ちがある場合に、校正は不可欠なものとして関わってきます。

打ち合わせの段階で「万が一ミスプリがあった場合にだれが責任を負うのか」という責務の問題から、「校正刷りは何回出すのか」「三校まで行うのか。あるいは四校以上行うのか」「念校(責了)はだれが行うのか」など、制作上取り決めることもあります。これらのことを事前に決めておいて、ミスプリや原稿上の不備が発生した場合に、責任の所在を明確しておくことが大切です。これを怠りますと、トラブルが増大する危険性が出てきます。

編集・DTP業務で適切なアドバイスをしてくる編集制作・印刷会社を選ぶ

校正が、印刷物の品質そのものを左右する非常に大切なものであることは、お分かりいただけたかと思います。しかし、校正はDTP業務の一部に過ぎません。この校正がスムーズに行えるようにするためにも、DTPや編集業務がしっかりと行われているかが問われます。

企業の担当者の方で、これから社内で定期刊行物や書籍を作ることになっている場合、印刷会社への相談や、制作会社へ企画・原稿を持ち込む際には、校正業務をしっかりと行っていて、編集やDTP業務で適切なアドバイスができ、クライアントに対して有益な提案をしてくれる編集制作・印刷会社に発注されることをおすすめします。

こぼれ話

コミック誌では、人の髪の毛などを非常に細い線で描く漫画家がいます。鉛筆で描いたものを消しゴムで消したにもかかわらず、高画質なデジタル処理によって、本来、印刷しない不必要な線が見えてしまって、間違ってそのまま印刷されるケースがあります。ですから、印刷する細い線なのか、印刷しない消した線なのかを見極める必要があり、それがコミック誌の現場で結構気を使う校正作業の1つになっています。

入稿する際に気を付けたいポイント

著者が執筆業を営むプロではなく、一般の素人さんの場合によくあるケースですが、一度書いた原稿が気に入らないという理由や、気が変わったという理由から、校正刷りが出た後に、原稿に大幅に手を加えたり、場合によってはそっくり差し替えたりするケースがあります。 

これは雑誌・出版社に限らず、企業においても広報宣伝部や社内報担当者の手を煩わせることになります。大幅な手直しがあった場合や全面差し替えは、再び校正刷りを出すことになりますし、それだけ校正の見落としを誘発する原因にもなります。作業効率が悪くなり、余分なコストも掛かってきます。

そこで、入稿するときはできるだけ原稿の内容を再確認し、もう一度読み直してみることをおすすめします。その際に誤字・脱字に気が付けば、修正することで、入稿後の校正がスムーズに行えるようになります。全く直しがない「完全データ」を入稿するというわけにはいかないでしょうが、入稿後に大幅な訂正や差し替えがないような原稿を入稿できるように心掛けたいものです。

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