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株式会社マル・ビ■レンチキュラーの第一人者として市場拡大を

株式会社マル・ビは、レンチキュラー印刷の第一人者として業界で知られているが、売上の主力は厚紙印刷や特殊紙印刷で、クリエイティブから印刷・加工までワンストップで展開している印刷会社である。先頃レンチキュラーの新商品も発表し、ますます市場拡大を図っている同社。白倉和昌社長にレンチキュラー印刷を中心に事業全般について話を伺った。


代表取締役
白倉 和昌氏(GC東京)

 

 

 


ビジネスチャンスと捉えレンチキュラーに着手

株式会社マル・ビは、1973年7月に設立し今年で50周年を迎える。製版会社でスタートした同社は、30年間、製版事業を展開してきたが、20年前に現住所に移転して、数年後、工場の広いスペースを活かしてUVオフセット印刷機を導入し印刷事業に参入した。

「ただし、印刷は後発企業になりますから、当時出始めたUV印刷機を導入し、幅広い印刷需要に応えていくことを目指しました。レンチキュラー印刷もその頃から取り組むようになりました」と白倉社長は述懐する。現在はリョービのUV印刷機を2台所有し、多彩な印刷を展開している。

「弊社の一番の強みはレンチキュラー印刷になりますが、まだ売上は2割程度で、売上の大半は厚紙印刷やユポ紙、PET、アルミ蒸着紙などの特殊紙印刷になります」。

厚紙や特殊紙が刷れない同業者から仕事を受注するようになり、外注先としての地位を築いてきたが、今では同業者だけでなく広告代理店や企業からも受注するようになり、薄紙のチラシから頁物、カタログ、多面付けのラベルやチケット類の印刷、美術書、ポスター、さらに厚紙の表紙やパッケージ印刷など多種多様な用紙でフレキシブルに対応している。

同社がレンチキュラー印刷を始めたのは、レンチキュラーソフトを生産している台湾のメーカーと知り合ったのがきっかけだった。20年前、日本ではレンチキュラー印刷の市場が形成されていなかったため、先駆者となって市場開拓していけると考えたからだ。

「製版技術を活かせる商材であることが分かったので、ビジネスチャンスだと考えて取り組むことにしました」とのことで、先見の明があったといえよう。だが、当初はUV印刷機を持っていなかったため同業者に外注したという。「しかし、外注先もレンチキュラー印刷は初めての仕事だったため、多くのヤレ紙を出して失敗を繰り返したのです。そんな状態ではビジネスにならないと思い、自社でやっていくしかないとUV印刷機を導入しました」と話す。

レンチキュラー印刷には厳密な見当精度が要求される上に、厚みもある商材であるため、それらに対応する必要があった。各メーカーを比較しリョービのUV印刷機なら可能だということで採用したという。

「印刷部門の社員たちは印刷技術を確立し品質を安定させるのに苦労したと思いますが、時間と共に技術が向上し、現在では綺麗で多彩な表現を実現できるようになりました」。

オンデマンド印刷で小ロット需要に対応

レンチキュラー印刷には見え方の違い(効果)で分類されており、その効果ごとにノウハウを追求し高品質化してきた。表現の説明は割愛するが「リアル3D」「3Dデプス」「チェンジング」「アニメーション」「モーフィング」「ズーミング」などがあり、ニーズに応えて制作している。

さらに同社では、曲げると文字が見えるレンチキュラーの新商品をこのほど開発した。これはカービングという技術を使ったもので、折り曲げると文字が出てくるようになっている。主に本や冊子、パンフの厚紙の表紙に施すとのことで、先のIGAS2022 のJPEXブースの「まげる本」のコーナーに出展して好評を博し、既に問い合わせが来ている。

また、小ロット需要に応えていくためにリコーのオンデマンド印刷機を導入した。「レンチキュラー印刷も何とかオンデマンド印刷で実現できないものかと思っていたところ、3年程前に展示会でリコーさんがPETに印刷したサンプル品を展示してあったのを見て、PETに印刷が可能ならレンチキュラーレンズにも印刷できるのではないかと思って相談したところ、テストすることになり、2年程かけて品質を高めていただき、ようやく商品化のレベルに達したのでオンデマンド印刷機を導入したわけです。これで中品質の小ロット印刷ニーズに応えることができるようになりました」と、小ロット化を実現した。さらにオンデマンド印刷機の品質が向上すれば、より訴求できるようになるとし、今後のメーカーの開発力に期待している。

今回、カービングという技術を使った新商品を開発した同社であるが、ビジョンについて白倉社長は「これからも新しい技術を開発してレンチキュラーの第一人者として確固たる地位を築き、日本のレンチキュラー印刷市場を当社が牽引していければと考えています」と、レンチキュラー印刷のリーディングカンパニーとして、さらなる市場拡大を図っていくと力強く話した。

① 業務・制作フロア
② オンデマンド印刷機で小ロットに対応
③ 表紙に「カービング技術」を施した本
④ サンプル品を陳列


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