制作お役立ち便利帳
印刷物の制作に関するご質問

Q どうして用紙によって発色が変わるのですか?

A

印刷インキでもインクジェットインクでも、染料や顔料といった発色にかかわる微粒子を運ぶ液体が何らかあり、紙にはそれらを受け止めて固定させる仕組みというのがあります。水彩絵具で考えると、水が紙に浸み込んだり蒸発して紙の表面に顔料が残りますが、紙が異なると水の浸み込みやすさによっては色が滲んだり、浸み込みにくい紙では顔料が多く表面に残ります。このように紙の表面の状態や、紙自身の構造によって、どのように染料・顔料が付着するかが変わるので、見え方も変わってきます。

まず紙の表面の平滑さが画質にもっとも影響します。表面の凹凸は乱反射になるので、平滑なほど明瞭な画像ができます。そこで印刷用紙の表面には画質を上げるためのいろいろな加工がされ、それが用紙の呼び名になっています。通常のカタログなどに使われるコート紙は平滑にするために白いクレイとか炭酸カルシウムを塗工しているので塗工紙と呼ばれますが、塗工の程度によって多い方から、アート紙・コート紙・軽量コート紙・微塗工紙があります。塗工が少ないほど発色はくすむ傾向にあります。

コピー用紙や書籍。新聞などはこの塗工がなく、非塗工紙と呼ばれます。塗工があった方がインキの発色がよく光沢もあり、カラー印刷に適します。しかし紙自身の光沢があると小さな文字を読む場合は邪魔になることがあり、印刷の用途によって塗工の程度が選択されます。塗工紙であっても光沢を抑えるためにマット仕上げをしたマット紙では色はくすむので、一般的な用紙を使うのでなければ、色校正段階から用紙の特性を踏まえたカラーマネジメントが必要になります。

非塗工紙は表面に凹凸が大きいこととインキがいろんな方向に浸み込むことの2つの理由で鮮やかな発色は難しく、コントラストも弱い画像になります。

オフセット印刷よりも紙に浸み込みやすいインクを使うインクジェット印刷では、上記の差は顕著になり、インクジェット用にさらに表面処理をした用紙が必要になります。例えばインクの水分は紙内部に吸い取られていっても、染料や顔料はなるべく表面に残るように工夫がされています。そのような処理が無いと、インクが紙に吸い取られる時に色が滲んでしまい、画像がくすむと同時にボヤけてしまうからです。

また紙表面の染料・顔料を通過した光が紙の中に入って、それが像の周囲から出てくる光学的な色のにじみも非塗工紙では多くなります。カラーマネジメントでは非塗工紙による色のくすみやコントラストの低下をあらかじめ補正するために、非塗工紙用カラープロファイルを使って色変換を行っていますが、塗工紙と同様の結果にはなりません。

紙の中にインクが入りこまない、トナーという微小樹脂粉による画像形成をする電子写真方式のプリンタでは、紙の性質による影響は比較的少なくなります。