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タグ:コンプライアンス

Q 改正個人情報保護法でCookieの取扱いはどうなる?

A

2022年4月施行の改正個人情報保護法は、個人データの不適正な利用に厳しくなるとともに、マーケティングへの活用の道も開かれるというバランスをとったものです。まず厳しくなる点では、①罰則 ②義務の拡大 ③請求権の拡大 などがあります。

罰金は「6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金」から「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」に、報告義務違反に対しては「30万円以下の罰金」から「50万円以下の罰金」に強化されます。法人に対する罰金刑は措置命令違反と不正流用については「1億円以下」に引き上げられます。また諸規定は外国の事業者にも適用されます。

個人情報取扱事業者の義務は、個人データの不適正な利用の禁止義務が明文化され、漏えい等が発生した場合の報告義務及び本人に対する通知義務が新設されます。一方で民間団体の「認定個人情報保護団体」がある程度ルールを決められて事業者の自主的な個人情報保護への取り組みを推進しています。

個人データの利用停止や消去を請求できるのは、旧法では目的外利用された時と不正の手段で取得された時に限られ、また第三者提供の停止を請求できるのは、本人の同意なく第三者提供がなされたときに限られていましたが、改正法では上記に加え、不適正な利用がなされたときも利用停止等が請求できます。また、個人データの取扱いにより本人の権利又は正当な利益が害されるおそれがあるときにも、利用停止等又は第三者提供の停止の請求ができるようになります。

一方でデータ利活用の促進として、個人を特定できないように個人情報を加工した「個人関連情報」は、旧法では加工前の情報と同等に厳格な規制の対象となっていましたが、改正法では氏名等を削除して、他の情報と照合しない限り個人を特定できないように個人情報を加工した場合は(仮名加工情報)、仮名加工情報取扱事業者の内部分析目的の利用に限定する等を条件に、開示・利用停止請求への対応等の義務を緩和しました。

これはCookieなどのような識別子情報とそれに紐づく閲覧履歴や購入履歴などの個人情報ではない情報のことで、改正法では個人関連情報を第三者提供する場合、提供元が提供先に対して本人の同意を得ていること等を確認する義務を新設しています。例えばホームページを開くと、『弊社のウェブサイトでは、サービスの向上、またユーザーにより適したサービスを提供するため、クッキーを使用しています。また、ユーザーに合ったコンテンツや広告を表示させることを目的としてクッキーを使用する場合があります。』として同意を求めるケースなどです。

そもそもCookie自体には個人情報を抜き出したり、特定したりするような機能や仕組みは無く、Webサイトへのアクセス履歴やログインIDなど、Webサイトの閲覧にかかわるデータのみとなっていますが、Cookieとその他の情報を照合することによって個人を識別することは可能です。Cookieに関するトラブルを防ぐために使用同意を求めるポップアップがありますが、その内容はEUで2018年5月にできた法律GDPRの項目が参考にされています。

現時点ではポップアップを表示することは義務付けられてはいませんが、今後施行される法改正を考慮して、マーケティングに関連したWebサイトではCookie使用の同意を得る仕組みの準備を行っておくとよいでしょう。一方で2020年10月に公開されたGoogle Analytics 4はプライバシー保護に重点を置いて開発され、Cookieを使用することなくアクセス解析が行えますので、マーケティングに関係の薄いWebサイトでは、ユーザーにCookieの使用を拒否されてもサイト運営に直接影響はないともいえます。

参考:個人情報保護委員会ウェブサイト https://www.ppc.go.jp/

Q 令和4年から電子帳簿保存法がどうかわるか?

A

令和4年1月から電子取引については関係書類を紙保存ではなく電子保存するために電子帳簿保存法が決められようとしていましたが、2年間は紙の帳簿でも保存が認めらる猶予期間となりました。いずれにせよ電子取引の加速に伴い、従来さまざまな制約があった電子帳簿保存法は抜本的に緩和されました。

最近は、見積書、注文書、請求書、領収書のような取引書類をPDFとして作成し、電子メールの添付ファイルとして送受信するのが一般化しました。また、オンラインで購入する際も領収書や請求書をPDFファイルとしてダウンロードします。これらの書類はその後に監査・決算処理や税務などに必要な重要な証憑書類であり、法人税・所得税などの国税の徴収を行う立場から、国税庁は国税関係書類として指定し、取引に際して相手方から受け取った国税関係書類と相手方に渡した国税関係書類の写しの保存を法人税法で納税者に義務付けています。

国税関係書類のデジタル保存については、「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」(電子帳簿保存法)、また財務省令「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則」で定められています。
電子帳簿保存法は第4条1項は、会計システムなどを使って自己が最初の記録段階から一貫してコンピュータを使用して作成している「帳簿」について、第4条3項で書面をスキャンして電子化PDFファイルとしたときのデジタル保存と原本廃棄を認める(スキャナ保存といいます)条件について定めています。

電子帳簿保存法第10条では、取引用PDFファイルを書面にプリントアウトして保存するか、デジタル保存する際の条件を定めていて、以下1~4のいずれかの措置を行えば良いとされています。


1.デジタルファイルの受け渡し後、時間をおかずに記録事項にタイムスタンプを押し、さらに保存担当者またはその監督者の情報を確認できるようにする。
2.正当な理由なく訂正及び削除を防止する事務処理規定を設けて備え付け、規定に沿った運用を行う。
3.デジタルファイルの記録事項にタイムスタンプを付してから、取引情報の授受を行う。
4.デジタルファイルの記録事項について、訂正または削除を行ったばあいにこれらの事実及び内容を確認することができるコンピュータシステムまたは訂正もしくは削除を行うことができないコンピュータシステムを使用して、その取引情報の授受及びそのデジタルファイルの保存を行うこと。

改正前から緩和された点は、

1.タイムスタンプ付与期間(現行:3日以内)が、記録事項の入力期間(最長約2月以内)と同様になった。
2.データ検索要件が、取引等の年月日、取引金額及び取引先に限定するとともに、国税庁等の質問検査権に基づく情報開示に応じるなら複合検索機能がなくてもよいとなった。
3.売上高1000万円以下で、国税庁等の質問検査権に基づく求めに応じるなら検索要件は不要とする。

つまり、PDFなどでの保存に関して、データ管理さえちゃんとしていれば、特別なシステムがなくても、紙の書類を不要とできるといえるでしょう。これらに関した法令は今後も変更されることにご注意ください。

参考資料
電子帳簿保存法関係法令集
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/03.htm open_in_new

電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/07denshi/index.htm open_in_new

Q ネット上著作物の保存・利用の適法な範囲について

A

文化庁は当初ネット上著作物のダウンロードは全面的に違法とする方針でしたが、2019年1月1日に施行された著作権法の改正で、著作権者の利益を不当に害しない範囲で、著作物の部分的な表示等ができるようになりました。これは余りにも形式的な著作物の保護をすることがIT利用促進の障害にならないように配慮したためです。

例えば従来の法律では、コンピュータ画面上に表示された他人の著作物の全部または一部を画像にして保存するスクリーンショットいわゆるスクショをする場合には、その著作物の著作権者の許可をもらうのが原則でした。情報検索のためや論文剽窃検証サービス等でネット上の画像を取り込むとか、AI開発のための画像の数理的的な解析のためなども、形式的な著作権侵害となる可能性があったからです。

またオンデマンド授業での講義映像・資料の送信、対面授業の予習復習用の資料のメールでの送信、スタジオ型のリアルタイム配信授業の際に、使用する著作物の許諾を受けることができない、権利者が見つけられない、手続きが煩雑で授業に間に合わないという問題がありました。そこで補償金の支払いのみで別に許諾を受けることなく使用できるようになりました。

全体としてダウンロード全面違法ではなく、著作権者の利益を不当に害しない範囲で、著作物の部分的な表示等ができるようになりました。そこで、著作権に触れるイラストなどが一部に写り込んだスクリーンショット(スクショ)についても、一律違法ではなく、私的使用の目的でのスクショであれば著作権の制限規定の対象であり、原則違法とはなりません。

規制の対象になるのは、権利者の許可無くネットに上げられた漫画や写真、論文などを、著作権侵害物だと知りながらダウンロードする行為です。また他人の著作物の一部を切り取ってスクショするような場合は、スクショの仕方によっては、著作者が著作物を勝手に変更・切除等されないという権利である同一性保持権の侵害になる可能性はあります。
ただし違法アップロードでも、その著作物の全体のうちスクショされるのがほんの一部分で軽微なものの場合には違法になりません。例えば漫画の紙面全体ではなく一コマの一部などの場合は著作権者の利益を不当に害しないと判断されるからです。

ちなみに、私的使用の目的であっても、正規版が有償で公衆に提供・提示されている著作物を、それが違法にアップロードされた著作物(国外も含めて)であることを知りながら、継続・反復的に受信してスクショする場合は、刑事罰として2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金又はこれらの両方を問われる可能性もあります。

参考資料:令和2年通常国会 著作権法改正について(文化庁)
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/r02_hokaisei/

参考資料:著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に 関する法律の一部を改正する法律 御説明資料(文化庁)
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/r02_hokaisei/pdf/92359601_02.pdf

参考資料:侵害コンテンツのダウンロード違法化に関するQ&A(基本的な考え方)(文化庁)
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/r02_hokaisei/pdf/92359601_06.pdf

Q ウェブアクセシビリティでPDFは使えますか?

A

Webサイトに印刷物のPDFを置くことがしばしばあります。一方Webでの高齢者・障害者などに配慮してアクセシビリティを向上させるためにhtml作成時にはどうすべきかのウェブアクセシビリティ規格「JIS X 8341-3:2016」の理解が広がってきました。そこではPDFや動画ファイル、JavaScriptによる動的な要素なども対象となります。つまりPDFに関してもどういう扱い方になるかによって、この規格に準拠しているのか、しないのかが分かれることになります。

JIS X 8341-3:2016では、Webサイト設計者がまずアクセシビリティ方針を定めて改善を図るように考えられていて、対応方法が『準拠』『一部準拠』『配慮』と3段階に分かれ、どのレベルの対応をしているのかを自分で選択し表記するようになっています。もっともレベルの高い『準拠』は、JIS X 8341-3:2016の要件に従って制作・開発したうえで、『附属書JB(参考) 試験方法』に示されている方法や手順に沿った試験をしたものを指し、試験結果に基づいて『一部準拠』とか『配慮』という表現を使うことになります。

PDF、動画、JavaScriptなどを使っている場合は独自に検証して、試験結果の公開が必須となります。そのため試験の実施から、結果公開のためのページ作成まで対応できる制作会社に外注することが『準拠』となるには求められます。例えば内閣府のWebページでは、検証結果を公表して『準拠』うたうとともに、PDFは「リンクについて」で取り扱いを説明しています。

つまりPDFも使えますが、アクセシブルにするにはHTMLに近い設計が必要で、見出し文字サイズを個別に大きく・太くするのではなく、Wordのスタイル機能で見出しタグを使えばタグ付きPDFにできます。こういったことを意識していない印刷用PDFは試験に通らないでしょうから、最初からHTMLを意識した構造化をしている必要があります。PDFファイルをその範囲から除外し試験をしたことを明記すれば「除外対象以外は」準拠という表現が使えます。これはPDF対応を先送りして対応できる範囲から段階的に取り組むことが勧められているからです。最初は目標とする等級をJIS X 8341-3:2016『配慮』からスタートしてもよいでしょう。

PDFではないですが、この規格の適合レベルのサンプルがありますので、ご覧になると段階的に取り組めることがわかると思います。

  ウェブアクセシビリティ・サンプルサイトと解説

Q 健康食品のチラシ制作を依頼されたのですが注意点は?

A

もっとも問題となるのが景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)という、商品やサービスの品質、内容、価格等を偽って表示を行うことを厳しく規制する法律に適合するかどうかで、不適切あるいはグレイな表現をした場合は、消費者庁長官及び都道府県知事から改善指導をうけます。法律に景品と名がついていますが実際に景品が不適切な例は何%もなく、実際は8割が健康食品、残りが美容関係なのが実態です。

過去に消費者庁のホームページに載っていた例では、以下の「すこやか酵母」のチラシが、「対象商品を摂取するだけで、特段の運動や食事制限をすることなく容易に著しい痩身効果が得られるかのように示す表示 」 が行われているとして、景品表示法違反(表示を裏付ける合理的根拠が示されず、優良誤認に該当)と判断されました。消費者庁は、当該製品を販売していた株式会社全日本通販に対し、景品表示法に基づく措置命令を行ったとのことです(2015年5月22日)。

表示規制の対象となる事業者は販売元だけではなく、他の者の表示内容に関する説明に基づきその内容を定めた場合や、他の者にその決定をゆだねた場合も含まれます。この場合に小売店のチラシに流用すると、チラシ(表示)の内容を決定したのは当該小売店ですので、小売業者に過失があるかどうかにかかわらず、小売業者は表示規制の対象になります。

ただしその広告を扱った広告代理店やメディア媒体(新聞社、出版社、放送局等)は、商品・サービスの広告の制作等に関与していても、当該商品・サービスを供給している者でない限り、表示規制の対象とはなりません。しかし内容について企画立案をした場合は責任が及ぶ可能性もあるので、不当な表示がなされないよう十分な注意をすべきです。

改善命令などの指摘がされるのは、商品・サービスの効果、性能に関する表示の「合理的な根拠を示す資料」が不足している場合で、提出資料として客観的に実証された次のようなものが求められます。
①試験・調査によって得られた結果
②専門家、専門家団体若しくは専門機関の見解又は学術文献
表示された効果、性能と提出資料によって実証された内容が適切に対応していなければならず、ただ自社で実施した試験のデータとか使用者の体験談だけでは通用しません。
つまり学術界・産業界において一般的に認められた方法又は関連分野の専門家多数が認める方法が存在するとか、消費者の体験談やモニターの意見等の実例でも、無作為抽出法で相当数のサンプルを選定し、作為が生じないように考慮して調査するなど、統計的に客観性が十分に確保されている必要があります。


販売する商品・サービスに利害関係を有する人の情報や、商品の購入者から送られて来る体験談についても、体験談を送って来る人はその商品を購入して効果のあった人が多いと考えられ、効果のなかった人との比較が正しくできないことなどから、客観的に実証されたものとは認められません。