制作お役立ち便利帳
印刷物の制作に関するご質問
見る場所によって印刷物の色味の印象が変わるのはなぜか?
印刷物の色校正や本刷りの色管理は、D65などの『標準光源』という決められた照明環境のもとで行われ、色のマッチングなどの評価を行っています。しかしオフィスや家庭や屋外ではそれぞれ異なる性質の照明が使われていますので、それぞれ色味が微妙に異なることは起こります。今日私たちの生活環境にある光源は、大まかに3種類に分けられます。それぞれの特徴を知っておれば、色味のズレの理解になりますので、発色の気になる部分は、より正確に色が把握できる場所で再度チェックするのがよいでしょう。
もっとも自然な発色となるのが太陽光ですが、天候などにより変化しますので、写真撮影などにはハロゲンランプが使われます。白熱電球も似た性質があり、可視光域の短波長(紫)から長波長(赤)まで連続した光(連続した波長の電磁波)で構成されていて、赤の側のエネルギーが強くなっています。
しかし照明器具としての白熱電球は減り、蛍光灯やLED光源が多く使われるようになりました。これらは連続した波長の光を出すのではなく、特定の波長の強い発光を、蛍光物質を使って他の色にも変換して、全体としては白さや明るさを出すようにした光源です。グラフでは青のところに尖ったピークがあるのがそれで、黄橙赤の部分は蛍光物質が補っています。そのため白熱電球下と比べると物体の青や緑が鮮やかに、逆に赤がくすんで見える傾向があります。
蛍光灯にも多くの種類があり、蛍光物質を工夫することで、例えば精肉売り場用などのほか、色評価用としても使える自然な(演色性のよい)光源も作れらています。LEDでも同様の工夫が可能ですが、まだ歴史が浅いので演色性のよいものは普及してはいません。つまり現在は蛍光灯やLED光源など多種多様な光源が使われるようになったので、表題のような色の見え方の違いが起こることも増えていると思われます。
テレビやスマホなどで多く使われる白色LEDは、蛍光灯が紫外線のような可視光外の発光を使ってるのとは異なって、青色光を使って黄橙赤の蛍光物質を光らせているので、どうしても青みが蛍光灯よりも強くなります。グラフで見ると白色電球、蛍光灯、白色LEDの分光強度分布は大きく異なりますが、人の目が光に感じる度合いは560nmを中心に限られた範囲ですので、光源の藍色や赤色の成分に大きな違いがあっても影響は少ないはずですが、色味に影響することはあるでしょう。
白色LEDでも、高価になりますが青色光ではなく紫外光によりRGB蛍光物質を発光させる方式のものは、蛍光灯の高演色性のものと同様で、また疑似太陽光源として撮影用にも使われています。一方で家庭用などの安い白色LEDにはひどく演色性の低いものもあり、LED照明は蛍光灯以上に品質がばらついているのも、色の見え方の違いが広がる要因でしょう。
参考 疑似太陽光照明
https://youtu.be/ysP6Kvid2eY
