制作お役立ち便利帳
発注に関するご質問

Q 電子出版のフォーマットにEPUBを採用するメリットは何ですか?

A

EPUBは世界の電子出版の主流になった国際電子出版フォーラム(International Digital Publishing Forum、IDPF)が公開している電子書籍フォーマット規格で、日本の縦組みにも対応したEPUB3.0以降は日本の電子書籍の主流でもあります。日本ではケータイ電話の時代から電子出版が行われていましたが、各通信キャリアごとに規格が異なっていたために、出版側にはいろいろな不都合がありました。EPUBはこういう問題に対して標準化で解決しようというものです。

現在はスマートフォンやタブレットが対象になり、Webがどこでも見られるようになったと同時に、WebのHTMLと親和性のあるEPUBフォーマットが電子書籍の標準フォーマットとなり、PCでもiPhoneでもAndroidでもEPUBを読める環境ができてきました。EPUBは特定の装置に依存しないフォーマットとして進展しています。つまりEPUBを採用すると、電子出版が日本の通信やIT企業の個別各社の都合で変更や廃止にならないことになります。

日本ではまだ一太郎とかが全盛であった1990年代初期に使われ始めたWebでの表現のためのHTMLは、今でも当時のページが閲覧できるように、現在のEPUBから今後バージョンが上がったとしても、過去のフォーマットは将来でも閲覧できるようになります。またKindleやKoboなど独自の電子書籍サービスを行っている場合でも、そこへの入稿はEPUBが前提になっていますので、制作サイドもEPUBを採用すれば汎用性は高くなると考えられます。

ただし現状のEPUB3で表現可能なことは、電算写植やInDesignで行ってきた日本語組版からすると、ごく基本的な機能としての縦書きとルビと禁則処理しかありませんので、今までの紙の出版物をそのまま電子化しようという目的には合いません。そこで日本の現状としては、文芸もののように文字中心の書籍か、あるいは漫画のような画像中心の書籍に2極化して使われています。

これからのEPUBの取り組みは、マニュアル、ビジュアルなカタログ、また雑誌などが考えられていますが、紙媒体と同じ体裁での電子出版を狙うならPDFの方が正確であるので、むしろ従来はWebで提供していたような内容を、書籍や雑誌のようなページごとのレイアウトにして、文字の可読性も紙媒体に近い方で提供するような用途が検討されています。

雑誌の場合は動画やスライドショウ、ARのようなリッチコンテンツや広告と連動したマーケティングも電子出版に関連づけることができますが、これらに関して標準規格があるわけではないので、自己責任となります。

EPUBの利用は印刷表現の問題よりも、ネットを介した伝達が使えることの利点を考慮すべきで、電子書籍なら閲覧者はいつも最新版を見ることができるからです。印刷物のように年度版の更新やそれに伴う配布が必要なくなるというのがEPUBによる電子出版のメリットとなるでしょう。