制作お役立ち便利帳
文字に関するご質問
高度な組版とはどのような点が一般文書とは異なるのですか?
人が手書きをする時には、句読点を行頭に付けることはしませんが、電子メールやメモ帳アプリでは行頭に打つことも可能で、こういう場合は行頭行末禁則というルールは適応されておらず「組版はしていない」ので、手書きよりも読みにくい紙面になってしまう可能性があります。組版の最低限としては、人が読むのに好ましくない文字の配列を避けるテクニックで、ワードプロセッサやWebはこの最低限のレベルはクリアしています。
さらに目が行や段落に沿って文字を追っていく際に違和感を覚えず、ストレスなく読み続けられるための編集上の工夫がいろいろあって、それを実現する組版処理が次のレベルで、ルビ、見出し、かっこ、文字間隔の調整などがあって、これによって何時間も長文を読んでも疲れにくいように配慮しています。
例えば漢字に読み仮名をつけるルビは、以前は新聞では使わずに括弧書きをしていましたが、文章が中断されて煩雑になるので、新聞活字が大きくなるにつれてルビも使われるようになりました。上等なワードプロセッサやEPUB3の電子書籍はこの中級レベルの組版はクリアしています。
その上のレベルの組版は書籍などで複雑な内容をわかりやすい紙面にするために工夫されていた事柄で、印刷業界で行われていたことを中心に「JIS X 4051:2004 日本語文書の組版方法」という工業規格になっています(Wikipediaに解説有り)。その内容を継承したW3Cの「日本語組版処理の要件(日本語版)」には図版入りで解説があります。この一部分がEPUB3の日本語の規格となりました。InDesignなど現在のDTPソフトはEPUB3よりももっと組版機能が多く、この規格にだいたい沿った内容が備わっています。
しかし実際の高度な組版というのはこれら標準化された要素以外にも多くあり、DTPソフトを使っていても手作業で行うことになります。これらは数式化学式など特定分野にしか使われないもので、また出版社ごとにルールが微妙に異なったりするので、DTPの一般機能には入れられなかったものです。
組版の最低限レベルは読者のストレスをなくすためですが、中級レベルになると編集者や制作者が効率的に紙面統一の作業を進めるための要素が増え、高度な組版になると出版社や著者の好みの要素にも応えるものと考えてもいいでしょう。
