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タグ:企画デザイン
ネット上著作物の保存・利用の適法な範囲について
文化庁は当初ネット上著作物のダウンロードは全面的に違法とする方針でしたが、2019年1月1日に施行された著作権法の改正で、著作権者の利益を不当に害しない範囲で、著作物の部分的な表示等ができるようになりました。これは余りにも形式的な著作物の保護をすることがIT利用促進の障害にならないように配慮したためです。
例えば従来の法律では、コンピュータ画面上に表示された他人の著作物の全部または一部を画像にして保存するスクリーンショットいわゆるスクショをする場合には、その著作物の著作権者の許可をもらうのが原則でした。情報検索のためや論文剽窃検証サービス等でネット上の画像を取り込むとか、AI開発のための画像の数理的的な解析のためなども、形式的な著作権侵害となる可能性があったからです。
またオンデマンド授業での講義映像・資料の送信、対面授業の予習復習用の資料のメールでの送信、スタジオ型のリアルタイム配信授業の際に、使用する著作物の許諾を受けることができない、権利者が見つけられない、手続きが煩雑で授業に間に合わないという問題がありました。そこで補償金の支払いのみで別に許諾を受けることなく使用できるようになりました。
全体としてダウンロード全面違法ではなく、著作権者の利益を不当に害しない範囲で、著作物の部分的な表示等ができるようになりました。そこで、著作権に触れるイラストなどが一部に写り込んだスクリーンショット(スクショ)についても、一律違法ではなく、私的使用の目的でのスクショであれば著作権の制限規定の対象であり、原則違法とはなりません。
規制の対象になるのは、権利者の許可無くネットに上げられた漫画や写真、論文などを、著作権侵害物だと知りながらダウンロードする行為です。また他人の著作物の一部を切り取ってスクショするような場合は、スクショの仕方によっては、著作者が著作物を勝手に変更・切除等されないという権利である同一性保持権の侵害になる可能性はあります。
ただし違法アップロードでも、その著作物の全体のうちスクショされるのがほんの一部分で軽微なものの場合には違法になりません。例えば漫画の紙面全体ではなく一コマの一部などの場合は著作権者の利益を不当に害しないと判断されるからです。
ちなみに、私的使用の目的であっても、正規版が有償で公衆に提供・提示されている著作物を、それが違法にアップロードされた著作物(国外も含めて)であることを知りながら、継続・反復的に受信してスクショする場合は、刑事罰として2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金又はこれらの両方を問われる可能性もあります。
参考資料:令和2年通常国会 著作権法改正について(文化庁)
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/r02_hokaisei/
参考資料:著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に 関する法律の一部を改正する法律 御説明資料(文化庁)
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/r02_hokaisei/pdf/92359601_02.pdf
参考資料:侵害コンテンツのダウンロード違法化に関するQ&A(基本的な考え方)(文化庁)
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/r02_hokaisei/pdf/92359601_06.pdf
商品を動画に撮ると冴えない
カタログなどに使う静止画の写真の場合は、撮影後でもphotoshopなどのソフトウェアでレタッチを行って、見栄えを良くすることが行われています。これは商品撮影の際のライティングの不足や、写り込みなどの欠陥を補ったり、商品コンセプトをより明確にするためで、画像の部分的な発色を調整しています。しかし、動画撮影では撮影後にソフトウェアで修正できる範囲が非常に限られていて、部分レタッチは事実上不可能です。
むしろ動画では鮮明な商品映像を作るには3DCGが使われていて、この3DCGは通常は商品開発よりも先に制作されます。つまり3DCGに合わせて商品が生産されるほど完成度が高い映像が先にあり、しかもCGは視点や照明効果も自由にコントロールできるので、メーカーは製品の商品撮影を省く場合もあります。ところが卸など流通業などにとっては販促用の動画撮影が必要な場合があり、その場合の撮影では静止画に比べて異なるライティングのテクニックが必要です。
静止画の商品撮影では照明を最適化した撮影ボックスが使われますが、動画となるとこのボックスには納まらないので、撮影ボックスのような多方向から光が当たって商品の影が出ないような照明を設定する必要があります。特に飲料のような液体をそのまま撮影すると濁った色になりがちなので、透明感を出すために商品の背面からも照明したり、ガラスなど透過する商品の場合には商品の下に乳白アクリルを置いて下から照明するなど、照明の工夫で完成した品質の映像ができるように工夫します。
撮影には従来から白熱灯、蛍光灯、メタルハライド灯や、フラッシュやストロボが使われますが、このうちフラッシュやストロボは静止画の写真用の「瞬間光」で、動画の照明には録画をしている間は安定した光を発する「定常光」が必要です。近年は発熱がなく、寿命が極端に長く、電気代も安いLED照明の品質が向上し、圧倒的に明るい光を簡単に扱えるようになりました。LED照明は簡易なものではYoutuberなどで有名なリングライトが、またスタジオでは光量や色味の調整も可能なビデオライトが使われます。
参考:ビールの琥珀色を綺麗に出すプロの撮影テクニック
https://www.youtube.com/watch?v=HrVxWp4TL0A
多くの商品情報を詰め込んだチラシを作りたい
新聞折り込みやポスティング、あるいはネットでもチラシスタイルの販促が行われていますが、単純に商品情報を並べただけでは大変見難いものとなり、訴求効果は得られません。内容面で顧客を引き付ける企画をするとともに、レイアウト面でも顧客の視線移動に沿った常識的な配置をする必要があります。また短時間に正確に制作できる体制を作らないと、チラシ配布後に思わぬトラブルに巻き込まれかねません。
まず紙面に対する見る人の視線の移動は、横組みではZ型といわれるように、まず左上に視線が行き(1)、そこから右に移り(2)、その先に左下に移行するので、重要なものを(1)(2)(3)のあたりに置きます。縦組みの場合は、右上が(1)、そこから下に(2)、次に左上(3)にジャンプします。これらはチラシに限らず、パンフレットでも、WEBページでも同様です。
またチラシで扱う商品ごとにデザインの傾向とかテイストに定番がありますので、あまり意表をついた独自なものを作ると理解してもらいにくくなります。そのため競合店などがどのようにチラシを作っているか分析します。商品の並べ方は店舗の棚割と同様に、どの店でもアレの隣にはコレ、という自然な流れがあるのを参考にします。(ちなみに棚割りが似ているのは卸元がそのようにしているから)
印刷面積がある程度大きい場合には販促の狙いに沿って紙面のゾーン分けをすることで、着目しやすく読みやすいものになります。次の例でば企画ものや顧客に対しての提案のゾーン、よく出る定番商品のゾーン、これから着目してもらいたいオススメのゾーンなどに分かれています。紙面の左下の目立つところには、敢えて価格提示よりも商品情報を載せているところにも工夫が表れています。
一般的なスーパーのチラシでは、定番は日替わりの特売になり、それぞれの左上が目玉商品になっています。企画の部分は、給料日後の週末/季節・気候に応じてメニュー提案型にして関連する素材を取りそろえるとか、季節行事に合わせて母の日/父の日などの特集をするとか、店内イベントと連動して何々フェアとしてまだ馴染みないものを説明することが行われ、ある程度読み物的な情報提供をすることもあります。
成城石井/丸正/ベルクスなどスーパーのチラシ担当者が、新聞折り込みチラシを作る側の配慮を述べている動画『タモリ倶楽部 2016年9月30日 スーパーマーケットの折込チラシ大熟読祭』が参考になるかもしれません。
掲載する商品点数が何百にものぼると、似た商品も多くなり、校正の直しが難しくなります。そこで商品に関する情報はあらかじめ項目を固定してエクセルのシートなどで提供し、自動組版で短時間に正確に制作することが行われています。自動組版を適用するゾーンはレイアウトそのものもテンプレート化して省力化することができます。









