プロのものづくり集
ARアプリケーション開発

ARを印刷物と融合させて販促・集客を高めていきましょう

スマートフォンの普及によって周知されつつある「AR(Augmented Reality=拡張現実)」は、商品やサービスの広報宣伝・集客で有効なアプリケーションとして活用が進んでいます。印刷物に付加して利用できる技術ですから、その用途は数多く、アイデア次第でさまざまな宣伝効果が見込まれます。ですから、印刷物を制作する際には「ARアプリケーション」(以後、ARアプリ)も併せて考えて、販促・集客を高めていきたいものです。

ARを簡単に説明しますと、スマートフォン等のカメラで撮影したマーカーを通して、映し出されたコンテンツの映像に、画像や動画、音声などのデジタル情報を反映(拡張)し、現実空間をコンピューターで改変する技術のことを指します。

ARの目的は、Webサイトへの誘導、店舗への集客、あるいは直接商品の購入を促すことにあります。最近のAR技術は進化しており、単に映像と音声が流れるだけのARはもはや古く、新しいサービスでは、アクセス解析機能やプッシュ配信機能を搭載したクロスメディア効果測定が可能なARアプリが出現しています。

では、企業がARアプリを開発し、クライアントや消費者にサービス展開していくにはどうしたら良いでしょうか。

市場にはARビジネスをサポートしている会社が数多くありますが、印刷会社の中でもARアプリ開発に長けている企業があります。クライアントが名刺やチラシ、パンフレット等の印刷物を制作する際に、同時にその印刷物にAR機能を持たせることができるのが印刷会社です。より効果的な販促ツールにしていくノウハウを持って、顧客のニーズにスピーディに応えることができます。そして、印刷物とAR技術を融合させることで、付加価値の高い媒体を提供しています。しかも低コストで取り組みやすいメリットがありますから、大いに活用したいものです。

ASPを利用することで簡単にARアプリを展開することができます

最初に、クライアントはARのオリジナルアプリを制作する必要があります。その際に、ARサービスをASPで提供しているアプリ開発会社を活用することをお薦めします。通常、オリジナルアプリを開発しますと、多額の費用が掛かってきますが、ASPサービスを利用しますと、ARアプリが簡単に、しかも低コストで作ることができます。ですから、まずはASPサービスを行っている制作会社に問い合わせるのが良いでしょう。

オリジナルアプリの制作工程

オリジナルのARアプリを開発し利用したいクライアントの場合

1. 企画に関する打ち合わせ
営業担当者がクライアントの企業に伺って、ARを使ってどのような表現をしたいのかを具体的にお聞きします。クライアントにはイメージされていることをできるだけ詳細にお話ししていただきます。そのようにヒアリング、ディスカッションを行い、制作に必要なさまざまな資料やデータを受け取ります。ここでクライアントはできるだけAR技術を使ってどのようなことをしたいかを、最初の打ち合わせでできるだけ希望を述べることがポイントになります。
2. 企画書の制作と内容の確認
制作会社は、打ち合わせした内容から企画書を制作します。アプリの構成、アプリの作り方、アプリのデザイン、アプリの名前(仮名)、また、どのようなコンテンツになるのか。(例えば、バーチャル3Dで表現するもの)であるとか。制作工程のスケジュールなどをまとめた企画書を提出します。
3. クライアントから修正点に沿って新たに企画書を作り直す
クライアントからの修正点や新たな発想が提示されますと、それを付加した企画書を新たに制作します。クライアントや制作コストによってさまざまですが、企画書は2回以上作り直すことになります。3D映像ともなれば、制作会社は実際の現場に取材に行ってARを起動させた時のイメージや映像を具現化します。それを企画書の誌面に分りやすくイラスト等にします。
企画書はその都度見直され、改良していくことになりますが、それはクライアントに制作工程をできるだけ分りやすく見せることで納得してもらう必要があるからです。

マーカーとコンテンツについて

ARで映像を表現するためには、通常、マーカーと呼ばれる特定の2次元データの図形を認識する「マーカー型」と、決まった形を必要としない「マーカーレス型」があります。マーカーレス型とは、名刺や写真、はがき、ロゴマークなど、印刷物やモノ自体を識別して情報を出現させる方法です。

ユーザーの使い勝手を考えますと、ARを表示する方法が分りづらいのは避けたいところです。マーカーレス型ですと、印刷物のどこかに説明文を設ける必要がありますが、マーカーがあれば、それが目印となってARを表示しやすいというメリットがあります。

ARの実現方法(マーカー型かマーカーレス型)が決まりますと、次はカメラをかざした時に出現されるコンテンツデータの制作を行います。人物動画の撮影や立体キャラクターの動作、イラストの立体化など、方法はいろいろです。最も重要で肝心なところですから、制作会社と綿密な打ち合わせをして、できるだけ詳しく希望を伝えることが不可欠です。制作を終えてから、後から機能の追加や、仕様の変更が生じますと、納期が遅れるだけでなく、余分なコストが掛かってきます。これはクライアントにとっても制作会社にとっても良いことではありませんから、事前に詳細な打ち合わせを行っておくことが必要になります。

通常は、完成した場合を想定して、イメージ画面を提示するなど、企画が決まって実際に制作をスタートした段階で、動作する内容を分りやすくイラストにして説明する機会がありますから、クライアントはそれを見て判断することになります。

コンテンツは立体動画が主流に

最近のAR技術は高度化しており、コンテンツは3D動画が主流になりつつあります。例えば、クリスマスプレゼント用の箱をスマホのカメラでかざすと、箱の中身の映像が出てきて、クリスマスソングが流れてくるという仕組みです。箱の中身はバーチャル映像ということで、実物が入っているわけではありませんが、スマートフォンをタップするごとに「指輪」や「ハートの画」であるとか、さまざまな画像に変わる仕組みを施すことが可能です。

BtoC向けのアプリとして、インパクトやドキドキ感をキーワードに、相手に気持ちを伝えるためのアプリとして開発されたものです(動画参照)。この技術は、そのまま企業の販促ツールとして考えることもできるでしょう。

また、カタログの中の商品をカメラでかざすと、商品の立体映像が現れるようにしたものもあります。例えば、靴屋さんのカタログでは実際に売られている靴を見たい場合に、ARアプリを使って立体的に映し出すことをしています。そして、販売サイトに移動できる仕組みも付加することもできます。その場で即決し商品を購入できるようになっているわけです。

さらに観光地には「顔ハメ看板」を設置していますが、撮影される人がわざわざ看板の後ろに回って顔を出さなければなりません。しかし、AR技術を使えば、看板に変わってさまざまなフレームを簡単に作ることができます。

また、看板だけでなく、はがきやチラシに絵画を印刷して、絵画の人物に自分の顔を置換えることも可能です。アイデア次第でさまざまな試みが可能ですし、集客率を向上させることが可能です。

トラの立体画像が現れるAR

トラの立体画像が現れるAR

雑誌AR

雑誌AR

最新のARアプリ開発事例

「STEP」のアイコン

近年のAR技術は進化しており、もはや単に動画を見せるだけの機能に留まっていません。最新の「STEP(Print Expanded Support Tool=印刷拡張支援道具)」サービスアプリは、3D動画、販促展開していく上で有益な機能や見せ方に仕掛けが施されています。いかに効果的な見せ方をしてキャンペーンやプロモーションを展開していくかが鍵となります。

最大の特徴は、ユーザーのログ情報が取得できて、アクセス分析ができる点です。ユーザーがアプリをダウンロードした場所と人数、アクセス数が測定されます。それらの情報を取得して、その印刷物やAR動画のコンテンツの閲覧状況を把握することができるようになっています。そして、アクセス分析して、その結果をレポートにしてクライアントに提供されるようになっています。

具体的には、条件別のレポートサービスとして「位置情報によるマーケティング」「アクセス分析によるマーケティング」「分析結果のフィードバック」を提供しています。

従来のチラシですと、仮に1万枚印刷し配布しても、どこでどれだけの人がチラシを見たのかが分りません。それが「STEP」アプリ付きのチラシですと、アクセスした途端に測定できてすぐに分るようになっています。ダウンロードしてくれた人数、実際にコンテンツを見てくれた人数、それらが全てフィードバックされますから、クロスメディア効果が測定できるわけです。それによってチラシの費用対効果が判明し、次回のチラシはどこに何枚配布すればより効果的なのかが、分るようになるわけです。

スマートフォンがあれば、商品カタログ(DM)をかざしてARを起動させ、動画や立体映像を観て、映し出された商品の上部に表示したボタンをタップするだけで、店舗の通販サイトに移動し、その商品を簡単に購入することができるようになっています。

印刷物からスマートフォンでアプリを起動させるだけで、通販サイトに移り、電話もしくはナビを起動させたユーザーが、実際にどのような買い物をしたのか、その動きが分る仕組みになっているのが特徴です。これがクライアントの企業にとってのクロスメディア・マーケティングであり、これを重要視して有効に活用することが、販売促進や集客を行う上で大いに役に立ち、売上アップに繫がっていくわけです。

O2Oによるクロスメディア効果測定

O2Oによるクロスメディア効果測定

さらに、「STEP」にはプッシュ配信機能が内蔵されています。プッシュ配信機能を使いますと、ユーザーへの最新情報を直接届けることができます。また、ユーザーの選択、配信時間帯の選択、テキストコンテンツの表示が可能となります。メールアドレスが分らなくても、アプリを起動していなくても、アプリをダウンロードしたユーザーに対して、いつでも、送りたい時に、送りたいだけ配信できるというメリットがあります。新商品の告知、キャンペーン情報、イベント告知案内などが素早く簡単行えるわけです。

このように最新のAR技術は、O2O(Online to Offline)で、より効果的なマーケティングを行い、費用対効果の高いプロモーションを仕掛けることができるようになっています。

ARアプリ並びにコンテンツに関しては、印刷物とのクロスメディア展開が不可欠ですから、まずは印刷会社でARサービス展開している会社に問い合わせてみることをお薦めします。

取材協力:(株)ワトム

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