プロのものづくり集
社内報制作

社内報は情報の共有化と企業風土を育てる大切な媒体です

社内報を制作する目的はいくつかあります。「従業員に経営理念・経営方針を周知させる」「企業風土・文化を形成させる」「社内に一体感を持たせる」「組織を活性化させる」「社内コミュニケーションを活性化させる」「業務情報・事業内容を理解・伝達させる」「情報の共有化」などが挙げられます。あるいは「従業員の声を経営層に伝える」「従業員の自発性を養う」「従業員の家族に会社がしていることを届けるパイプ役」というのもあるでしょう。

そう考えますと、社内報がいかに重要なもので、また必要なものであるということがお分かりいただけると思います。会社の目標を全社的に共有し、情報を公開し、風通しの良い企業風土を作るための媒体と言えるでしょう。それに、従業員だけでなく取引先、顧客、株主、地域などのステークホルダー対しても、社内報はさまざまな活動を報告する役割も担っています。

社内報はとかく大企業の媒体というイメージがありますが、数十名規模の企業でも、その役割は同じです。掲載する記事がほとんどないということであれば、数ページの冊子を隔月で作るというように、企業の規模に合わせて作っていけば良いだけです。中小企業だから必要ないということはありません。

社内報は基本的には紙で発行されるのがほとんどですが、今日では、時代を反映してネット配信のWeb社内報や映像社内報のイントラ型も作る企業が増えつつあります。しかし、基本は雑誌型か新聞型、あるいはカタログ型に分かれます。イントラ型は、誰がアクセスしたかが解るため、既読率が明確になり、編集サイドからすれば、どの企画物が読まれているのか、あるいは人気がないのかが一目で分るメリットがあります。しかし、イントラにアクセスできないOBの方を切り捨ててしまうことになり、デメリットもあります。

紙媒体で発行するメリットは、いつでもすぐに見ることができる視認性の高さが一番ですが、詳細な情報を伝えることができることや、全従業員に伝えられやすいことが利点です。雇用形態が複雑化している現代では、従業員の定着率は低下しています。会社に対する帰属意識も薄れつつあります。その点からも会社や仕事への愛着を深めて、つなぎ止めていくために、社内報は重要なツールだと言えるでしょう。

一方、紙媒体のデメリットとしては速報性に欠けることでしょうか。インターネットを使ったWeb社内報の速報性には叶いません。それに制作の手間が他の媒体よりも掛かります。コストについては、設備投資・維持の面、ランニングコストなど総合的に考慮しますと、ケースバイケースです。必ずしも紙媒体のほうが電子媒体の社内報よりもコストが高くなるとは言い切れません。

印刷・製本まで一貫したワンストップ体制がポイント

社内報の重要性についてはお分かりいただけたと思います。では、実際に制作する場合はどこから取り組んでいけば良いのでしょうか。初めて社内報を作られる企業にとっては、難題だと思います。やはり実績を持っている制作会社に問い合わせをするのが先決でしょう。その際に、印刷・製本も含めて請け負っている印刷会社をお勧めします。紙の社内報を制作する場合、印刷・製本まで一貫して受注できるワンストップ体制を敷いていることは、発注する企業にとっても制作側にとって制作を効率的に進めることができますし、短納期化、急なデータ変更にも対処できますから、何かとメリットがあります。

発行目的を決めて、編集方針を定める

では、実際に社内報を作ることが決定したならば、最初にどのような計画を立てる必要があるでしょうか。まずは発行目的を明確にしたいものです。経営者からすればトップの経営理念を全社的に共有してもらい、会社を成長させたいという願いがあります。その考えをくみ取りつつ、経営者と従業員のコミュニケーションを大切にし、従業員のモチベーションを高めるツールにしていくことを、発行目的にするケースが多いようです。

発行目的を策定しましたら、次は「どのような視点で何を伝えていくのか」という編集方針を決定します。それを基に年間発行回数や配布場所(数)、媒体のサイズやページ数等の体裁や仕様を決めていきます。

体裁・仕様を決める際には、社内報担当者も決めておきたいものです。社内報の発行数にもよりますが、社内の担当者だけで制作可能な数ページ(もしくは1頁のペラ物)の媒体であれば、社内会議でその都度企画を決めて取り組んでも問題ないでしょう。しかし、外部の制作会社や印刷会社を活用するのであれば、関係者が一体となって制作を進行していかなければならないため、年間スケジュールや発行日、具体的な企画を決定する必要があります。そして、1カ月か2カ月に1回は関係者が集まって編集会議を開いて、企画の決定事項、進行・制作状況を報告する必要が出てきます。

制作に当たっては、事前に以下のようなことを実践されるのが望ましいでしょう。

  1. 編集の決定は誰があるのか「編集権」をしっかりと決めておくことが大事です。その都度、上司の考えに左右されて記事が変更されるようでは、社内報担当者や外部の制作会社が混乱し、スムーズに進行が運ばないだけでなく、校正ミスや発行に遅れが生じる可能性があるからです。最終判断を上司や役員に仰ぐ必要がある場合は、編集決定の了解を得る上司や役員を1人に決めておくことがポイントになります。
  2. 制作・印刷予算に則った体裁や制作会社(スタッフ)を決めて臨む。
  3. 「読んでもらえる企画づくり」「興味を持ってもらうための編集」を念頭に置いて発行する。
  4. 長期間発行することを前提に、誌面・紙面の題字やデザインを十分に検討して決定する。
  5. 従業員(配布先を含む)へ社内報を認知させる。
  6. 従業員に取材や寄稿での協力を仰ぐ。

制作スケジュールについて

一般的な社内報の制作スケジュールは以下のようになります。

1. 編集会議
次号に掲載する企画や取材先、原稿制作方法、などを決定する。
2. 取材・原稿依頼
企画に沿って取材し、原稿を制作する。原稿を依頼する場合は執筆を手配する。
3. 原稿入稿
取材して書いた原稿や執筆者が書いた原稿を集めて、制作会社に渡す。
4. 台割に沿って原稿編集・デザイン制作
編集者(制作会社の担当者、デザイナーもしくはライター)が集められた原稿を、台割に沿って編集・デザイン制作を行う。
5. 初校を出す
制作会社(デザイナー)から初校を受け取る。
6. 初校の校正
初校の内容を確認し校正を行う。校正箇所を制作会社に伝える。
7. 2校を受け取る
初校の修正指示を直したデザインを再度校正(2校)する。
8. 校了
文字についての校正を終了し、同時に印刷会社からの色校正紙を確認する。
9. 責了
色校正の最終確認し問題なければ責了し、印刷を開始する。
10. 納品
印刷し製本を終えて納品する。

制作は手間や時間がかかるため柔軟な対応が求められます

社内報担当者のほとんどが、社内報制作だけを仕事にしているケースはまれで、ほとんどは本業(広報部、販売促進部等)の傍らでの仕事になると思います。ですから、8頁以上の頁物の社内報になりますと、細部にまで配慮した編集・制作を1人でこなすのは負担が大きく大変です。ですから、予算の都合がつくようでしたら、外部スタッフに編集制作・執筆等の大部分を任せるのが得策と言えるでしょう。外部に発注される際には、ライターやグラフィックデザイナー、カメラマン、編集者を抱えている制作会社や印刷・製版会社などから、クオリティが高く、制作効率の高い社内報を制作できる企業を選定したいものです。

それから社内報にはこれと言った体裁はありません。ペラ物、二つ折り、8頁の冊子など、企業の事情によってさまざまです。大切なことは「広報すべきことは何か」「従業員に伝えたいことは何か」を明確にすることです。ですから、ペラ物1枚で済ませても問題はありません。最も大切なことは発行を確実に続けていくことです。

最初は社長の交代、社屋の移転・新築、あるいは新事業部のスタートなど大きな出来事だけでも構わないでしょう。そのうち伝えていくべきことが増えていくようになりますので、その情報量に応じて媒体の体裁を変化させていけば良いのです。ですから、編集方針にしても、体裁にしても、固定観念を持たずに柔軟に対応していくことをお勧めします。

今日では、新入社員や中途社員の入社時、新たに人材が部署に配属される時などが、社内報をスタートする企業が多いようです。そんな人の紹介があれば、皆さん興味を持って読んでもらうことができます。ですから、新規で社内報を考えている企業では、新しい社員が入社するタイミングで発行されるのをお勧めします。

社員の写真を使った社内報表紙(サンプル画像)

社員の写真を使った社内報表紙(サンプル画像)

新入社員を扱った企画で関心を高めた編集(サンプル画像)

新入社員を扱った企画で関心を高めた編集(サンプル画像)

ステークホルダーに高品質を訴える社内報表紙(サンプル画像)

ステークホルダーに高品質を訴える社内報表紙(サンプル画像)

各部署を紹介した読ませるための企画が大切に(サンプル画像)

各部署を紹介した読ませるための企画が大切に(サンプル画像)

社内報を初めて発行されるのであれば、まずは柔軟に対応してくれる制作会社や印刷会社であることを、問い合わせして確かめることが大事です。社内報担当者の負担を軽減するために、制作体制そのものを見直してみることをお勧めします。現状の制作体制に満足されていない企業がありましたら、まずは相談してみてください。

社内報を企画・編集からサポートしている印刷会社では、コストダウン化だけでなく、制作担当者の負担を軽減する改善策を提示したり、新しい企画を提案したりしています。それによって、従来とは見違える生き生きとした社内報に生まれ変わらせることが可能です。コストを含めてどれだけ親身になって考えてくれるか、今一度社内報づくりを見直してみてはいかがでしょうか。

お問い合わせ先:株式会社上田写真製版所

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