プロのものづくり集
特色インキ掛け合わせ

特色インキを掛け合わせて、商品やパッケージカラーのニーズに応えます

近年、商品パッケージ(商品自体も含む)に使用される色は、複雑で特別な色を使って印刷されるものが増えつつあります。通常なら、CMYKのインキを重ね合わせて印刷用のデータを作りますが、クライアントの商品のなかには、どうしてもCMYKの掛け合わせでは表現できない複雑な色をした印刷物やパッケージがあります。

CMYKでは、どうしても再現できない色を表現するために、調色された特色インキを使う必要が出てきます。特色インキを掛け合わせた多色印刷を行うケースとしては、ロゴマークやコーポレートカラー等の通常のプロセスカラーで表現できない場合であるとか、ブランド戦略として独自の色を表現したい場合であるとか、商品を店頭に並べた時にインパクトのある色彩豊かな色にしたい場合などが挙げられます。そのように、差別化やオンリーワンのコンセプトの下で、独自の色を持たせた商品やパッケージを提供する企業が増えつつあります。

そんな特色インキを掛け合わせて、最適の色を作って、多色印刷による印刷物を作るデータを制作するのが、製版会社の仕事になります。

熟練オペレーターが手作業で色を調合します

特色インキは、調合済みの特色インキをプロセスインキに掛け合わせて作る方法と、調合された特色インキ同士を掛け合わせて作る方法の2通りがあります。特色インキ同士を掛け合わせると、さらに微妙な色を表現することができ、色のバリエーションに一層広がりを持たせることができます。

最近は、自動的にインキを調合する装置も開発され普及しつつありますが、紙質や作業場の温度、湿度などの外部環境によって影響されるため、常に同じ色を調合するのには効率的ですが、数値だけでは推し量れない微妙な調合にはセッティングを何度もやり直す必要が出てきます。

そこで熟練のオペレーターによって、手作業でインキを混ぜ合わせる仕事が今でも求められています。微妙なニュアンスを表現するために、絶妙な練り合わせを行えるのはまさに職人技と言えるでしょう。

特色の制作工程

特色1色の調合

特色1色の調合。この段階で実物の色に近い色に調合します

特色2色の調合

特色2色の調合。この段階で実物の色に近い色に調合します

カラー・パッチの作成

特色1と特色2を掛け合わせたカラー・パッチの作成
(本紙のサンプル)

インクジェットプリンターと同等の色に合わせます

特色インキ同士の掛け合わせは特別な仕事で稀なケースですが、それでも色に拘るクライアントは少なからず存在しており、製版会社に実際の商品を持ち込んだり、インクジェットプリンターで出力した色見本紙を添付して、それらと同じ色で印刷を望まれたりことがあります。

インクジェットプリンターはRGBカラーの高画質で発色性に富んでいるのが特徴です。印刷のプロセスカラーよりも多くのインキを保有し、綺麗で鮮やかな色を表現することができます。そのため、商品やパッケージで使用する色もRGBに近い色を望まれるケースが増えています。ですから、6色、8色は普通で、中には12色のインキを掛け合わせて作ることもあります。そして、見本紙の色と同じ色でオフセット印刷ができるような版を作ることが目的になります。

しかし、一般の製版会社では特色インキを掛け合わせて最適なインキデータを作ることに対応しづらいことが多いため、その場合に、それを得意としている専門の製版会社に依頼してきます。結局はオペレーターが自分の目で見て調合し、微妙な色合いの特色インキを作ることになり、そのためには熟練されたオペレーターの職人的なアナログ感覚が求められるわけです。

一度、特色インキを掛け合わせた商品の色は、次回からそのインキデータを使うことになりますが、初めて特色インキを作る場合は、クライアントのさまざまな要求に応えられるように、予め何種類か色調合したデータを作っておくこともあります。

特色インキは、各インキメーカーから出されていますが、主にDIC、PANTONE、TOYOなどのインキを使用します。原色と呼ばれるインキ(調色する元のインキ)は数十種類あります。金、銀、パールなどの成分を含んだメタリックなインキや、ショッキングピンク、ショッキングイエロー等の蛍光色のインキ、また、通常なら網点の量で表現しますが、どうしても網点で色を表しづらい場合は、プロセスインキを薄めたような鮮やかで特殊なインキもあります。

なお、DTPで印刷用データを作る場合は、各インキメーカーのカラーデータベースを使って、特色インキを特別な色版(スポットカラー)として指定しデータを作成します。IllustratorのスウォッチパネルにあるDICカラーガイドの色は、プロセスカラーを掛け合わせた近似色のため、厳密にはカラーチップの色と色差が出てしまいます。

特色インキを使って印刷するメリット

特色インキを使用するメリットは、次の通りです。

  1. 異なる印刷機で刷ったり、環境に変化が生じたりしても、一定の安定した色を再現できます。
  2. 印刷物の企業名や商品名のロゴなどを特色インキで印刷しますと、プロセスカラーでは表現できない色でブランド効果や差別化が図れます。
  3. 商品やパッケージに使用しますと、店頭に並べた時に色が鮮やかで、より綺麗に見えて、インパクトを与え、お客様に手に取ってもらいやすくなります。

留意点として、特色を掛け合わせて印刷する場合は、仕上がった印刷を見てみませんと、色を識別することが困難です。DTPのソフト上で掛け合わせてシミュレーションしても、実物では異なる場合があることを理解しておくことが大事です。ですから、平台校正機や本機校正で刷ったもので正確な色を判断することが何より重要になります。

しかし、インクジェットプリンター用のインキと印刷用のCMYKのインキは、それぞれ顔料や特性が異なります。ですから、厳密に言いますと全く同じ色を再現することはできません。

それでもクライアントの要望に合った色を出すことが製版会社の務めですから、色見本紙を見て、その色にできるだけ近づける努力をしています。オフセット印刷機で印刷した際に、見た目では判断できないほど同じ色に印刷データを仕上げることができます。

特色印刷では、印刷現場に色を伝えるために用いるのが色見本帳です。グラフィックデザイナーや印刷会社の印刷オペレーターと色の意思疎通を図るツールと言えるでしょう。最近はデジタル入稿が主流になりつつありますが、この特色インキによる多色印刷の場合は、印刷オペレーターに的確に指示を出すために、校正刷りを添えますから、そこにカラーチップを貼って渡すことになります。

他社との差別化で付加価値の高い仕事になります

調色(インキの色を掛け合わせること)作業では、作業場の光源が非常に重要になります。使用する光源によって発色に変化が出てくる可能性があります。また、製版会社、印刷会社、クライアントの会社ではそれぞれ校正紙や印刷物を見る光源が異なりますから、違った色に見えてしまいます。ですから、校正する際は、同じ光源の下で校正紙を見ることがポイントになります。それが難しい場合は、標準光源(色評価用蛍光灯)を用いた作業場でできるだけ校正や色をチェックするようにしたいものです。

特色インキの場合は非常に微妙な色合いになりますから、色校正をどうやって行うのか、事前に打ち合わせをして、光源を徹底することが必要になります。

特色インキによる校正は、用紙もインキも同じものを使用する必要があることから、校正専用の平台校正機で行います。本機校正と同様に刷版を用意しなければなりませんから、コストと時間を要します。

当然、デジタルによるカラーマネジメントシステムを使うことはできませんから、スキルを持ったオペレーターによる手作業になります。しかも、クライアントも目で見て色が合っているかどうかを判定しますから、数値で測れない面があり、それだけアナログ感覚で色を調整する柔軟な対応が求められることになります。

製版会社としては手間が掛かる仕事になりますが、技術を持っていてクライアントの厳しい要求に応えられるなら、それが他社には真似ができない差別化となり、付加価値の高い仕事だと言えるでしょう。

お問い合わせ先:有限会社旭プロセス製版

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