プロのものづくり集
WordPressを使った冊子制作
冊子は作った時の達成感が格別です。チャレンジしましょう。
大学の卒業文集、大学教授の研究報告書、企業の報告書・記念誌、俳句同好会の作品集、商店街の店舗紹介冊子など、多数の人たちから文章を集めて作る冊子・書籍は、多くの人が関わってきます。一丸となって作り上げたものは、達成感も大きいものがあります。後世に残る冊子になるでしょう。是非ともチャレンジしてほしいものです。
しかし、一般の企業担当者にしても消費者の方にしても、いざ担当者になって進めようとすると、どこから手を付けて良いのか。何からどう取り掛かれば良いのか、分からないものです。原稿を依頼し、書いてもらって、それを集めて、冊子にするのは、やはりそれなりの経験やノウハウを持っていないと、全くの素人の方には大変な作業になります。スムーズに事が運ぶことはまずありませんし、途中で収拾がつかなくなるケースも少なくありません。
そこで冊子を制作するに当たっては、印刷会社もしくは編集プロダクションのプロの制作者に、まずは相談されることをお勧めします。
一口に冊子制作と言いましても、前述したように多種多様ですし、冊子の種類によって制作方法も異なってきます。お客様1社1社、一人一人事情が異なります。
原稿を集める数や制作に関わる人たちの数、それによる体裁や発行部数など、さまざまな要素が絡み合ってきますから、最初にどのような冊子にするのか、青写真を描くことがポイントになります。
それに1つとして同じ物はありません。すべてがオリジナルの冊子になるわけです。ですから、最初に打ち合わせをする際は、できるだけ具体的に冊子のイメージを持つことが大切になってきます。作りたい冊子を具体化して印刷会社や編集プロダクション、制作会社に臨まれることをお勧めします。
WordPressのススメ


WordPress(ワードプレス)は、簡潔に言いますと、ブログ形式でホームページを作成できるツールです。ブログ形式ですから、記事の作成は元より、原稿の差し替えもパソコン、スマートフォンやタブレットなどのブラウザを通して簡単に行えて、フレキシブルな編集が可能なところがメリットです。
昨今のホームページは、このWordPressを使ったものが個人、企業問わず増えています。WordPress自身はオープンソースなのでライセンス料を気にせず、無料で誰でもが使えるのが最大のメリットになります。
各種テンプレート(デザイン)やプラグインと呼ばれる拡張機能も豊富に用意されており、管理画面から好きなテンプレートやプラグインを利用できます。このように自由度の高いWordPressを利用すれば、比較的手軽にコンテンツ・マネジメント・システム(CMS)を導入できるというわけです。
WordPressを使ったWeb入稿/制作サイトのカスタマイズ事例
今回、なぜ冊子制作をWordPressで制作するのが良いかと言いますと、多くの人から原稿(テキストや写真)を集める場合、これまでは担当者のメールアドレスにデータを送る方法が採られていたのが一般的でした。しかし、それだと、確実にデータが届いたかどうかを確認する必要がありますし、担当者と原稿を書いた人以外には、送受信状況が分からずクローズドな編集で制作が進められていました。
WordPressを利用しますと、Web上で原稿を集めることが可能となり、オープンな環境になります。投稿されたデータをCSVファイルとして取得し、自動組版用のデータ原稿として展開することができます。カスタマイズの自由度が高く、容易で短期間に入稿支援サイトの構築が可能となる理由で、採用するケースが増えています。(高度なカスタマイズ例としては、Web to Printなどへの展開も考えられます。)
冊子制作のワークフロー(事例 : 卒業文集)
例えば、学校の卒業文集を作る場合を例に上げます。最も大変な作業が、学生1人1人から原稿を集めることではないでしょうか。編集者は1人1人にメールなどで連絡し、テキスト原稿を返信してもらい、そのテキストを校正して印刷会社へに渡すのが一般的な流れになります。編集者は、原稿のモレや間違いが見つかった時に、原稿を書いた学生に都度連絡して確認する必要があり、作業はスムーズに行かないのが普通です。なかなか連絡が取れない場合もあるでしょう。
そこで卒業文集を少しでもスムーズに制作する方法として、CMSツールのひとつ、WordPressをカスタマイズして、原稿投稿サイトを立ち上げ、投稿された原稿データの収集、管理、校正等を行い、それらを元に自動組版を行う流れをシステム化するのがベターと考えました。Web入稿なら原稿のチェックが容易ですし、制作工程を省力化することができます。

最初に入稿用のWebサイトを作ります。例えば、表題を「卒業文集 想い出を永遠に。全員参加 全員掲載」と謳ったWebサイトにします。
原稿は卒業生の手によってそれぞれ書かれます。サイトのトップベージに「原稿内容について」「提出方法」「投稿・提出期限」「注意事項」「お問い合わせ先」等を明記しておきます。それらをクリックすれば、説明文が表示される仕組みにするわけです。

一意のキーとなる学籍番号をもとに、学生1人1人パスワードで管理し、原稿を入稿する際や、問い合わせの時に必ずログインするようにして運用します。文集を投稿する際は、入稿日や学部・学科、氏名を明記します。編集者は誰がいつ投稿してきたかが一目で分り、一元管理できます。テキストや写真の有無、校正状況などのチェック項目を設けて原稿を管理していくわけです。
具体的な事項について補足します。学生は、最初にトップベージより「新規登録」を行う作業をします。同時に書いた文集のテキストデータを入稿してもらいます。その際に学籍番号、氏名、メールアドレス、緊急連絡先などを必ず明記する項目を作っておきます。
編集者は、運用期間中は自由に編集できますが、校正を何校までするのか。最終チェックは誰が行うのか。投稿内容の最終変更(直し)はいつまでなのか等を、事前に決定しておくことが重要になります。

仕組みづくりが重要
文集などの冊子づくりでは、窓口となる担当者を設ける必要があります。事例の卒業文集であれば「卒業文集編纂委員会」のような担当になります。その中のスタッフがサイトの運営・管理をすることになるでしょう。
同時に冊子の印刷・製本を依頼する会社を決めます。その際、このようなシステム運用について相談できる制作会社(印刷会社)であるかどうかが鍵になります。作業の効率化、コスト低減という側面を考慮すると印刷・製本まで請け負える印刷会社に相談されることをお勧めします。
- 制作における留意点
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- 進行スケジュールを決める。台割表、もしくはそれに準ずるもの。
- 予算を決める。
- 打ち合わせの日程・担当者を決める。
- 投稿サイトのデザインを決める。(クライアント側から案や考えを述べる)
冊子にしても、論文にしても、あるいは企業の各種記念誌にしても、さまざまな人が関わるワークフローになりますから、担当者と制作会社の営業担当者もしくは編集者とのコミュニケーションは欠かせません。同じ目的で、同じイメージした冊子を作れるように定期的に打ち合わせをして、担当者間で常に確認することが必要です。
Webサイトを利用したワークフローは、初期段階から並行して検討することが必要
最初にしっかりとした仕組みを作っておけば、さほど難しい作業ではありません。WordPressなどの仕組みを活用して冊子や書籍を作っている印刷会社が徐々に増えています。是非、ご相談してください。
お問い合わせ先:株式会社ミカド
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