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(180) AD印刷株式会社

実用新案本舗で「オリジナル手帳型ふせん」や新商品を開発

代表取締役
魚住 征美

特殊印刷から厚紙・薄紙印刷、特殊加工、パッケージ印刷などを手がけているAD印刷(株)は、6年前に大手生保から「オリジナルふせん」の制作受注があったのを契機に、様々なオリジナル付箋の開発に着手。「実用新案本舗」の名称で事業を開始し、次々と顧客のニーズに応える付箋を制作し提供してきた。実用新案本舗の事業は、今では売上の20%を占めるまでになった。「オリジナルふせん」はじめ各種ノベルティの開発にも積極的に取り組んでいる。魚住征美社長に事業開始の経緯から経営方針について話を伺った。

AD印刷株式会社
本社 : 東京都新宿区新宿1-24-12東信ビル
http://ad-co.jp/
http://jitsuyou-shinan.com/

品質第一の経営方針で、商品は納品前に一点ずつ検品を行う

オリジナル付箋制作は6年前にスタートした。大手生保の社内用で制作したのが契機となって、同社が企画デザインを提案したのが、顧客向けの「オリジナルふせん」制作の最初である。『オリジナル手帳型ふせんペタットくん®』の形状に、独自のデザインと文面を入れて25万部制作した。

その後、同社では次々と「オリジナルふせん」の企画を行い、実用新案を取得し制作実績を上げるようになったことから、3年程前に『実用新案本舗』という名称で事業を立ち上げた。

「印刷市場が先細りする中で、自社で開発・製造できる付箋であれば続けていけるし、また、良い商品を制作すればリピートしていただき、それによって当社の事業の柱にしていけると考えました。ホームページを見て相談されるお客様が増えましたし、展示会にも出展していることが新規のお客様の獲得に繋がっています。今では総売上の20%を占めるに至っています」とのこと。

同社では、A6以上の手帳にはさむことが可能な『手帳型ふせん』、名刺入れと同じ大きさの『名刺型ふせん』、6色の付箋と白の付箋メモを組み合わせた『レインボーふせん』を基本としているが、その他にもキャラクターを印刷したものやキュービック型、型抜き印刷など、顧客独自のデザインの付箋制作にも応えている。

これまでに数々の実用新案権を獲得してきたことで、それが大いにアピールになっているが、やはり、高い品質が認められ、リピートや新規オーダーに繋がっていると言えるだろう。

「当社では品質を第一に考えています。商品を1点1点検品してからお客様へ納品しています。それがお客様から高い評価を得る要因になっています」とのこと。同社ではコストダウンを図るために、外国で印刷や販促品を制作し、商品は特急船便で送られてくるとのこと。ダンボールに入った商品は、全て開けて問題がないかを、担当職員が一点ずつ検品作業を行っている。そのため、顧客からのクレームは皆無だという。「1点でも問題があれば、そのダンボールに入っている全ての商品が駄目ということで返品される場合がありますし、そのお客様からは次回オーダーをいただけなくなる可能性があります」とのことで、商品の出来についてしっかりとチェックしている。しかも、より速く、より丁寧に届けるという経営方針で臨んでいることで信頼も厚いわけである。

また最も発色が良く見える表紙「白」を追求するために、用紙を独自に開発。その「白」の色に惹かれてリピートしてくる顧客もいるとのことだ。付箋に関しては、『オリジナルふせんペタットくん』3種を基本に受注しているが、オリジナルのデザイン制作も請け負っており好評を博している。

さらに、各種ノベルティ制作も積極的に商品開発しており、先頃、立体パズル型『サッカーボール貯金箱™』のオリジナル制作も始めた。これはJリーグオフィシャルライセンスで、現在5クラブを制作している。6つのパーツに分解できるパズル型が特徴である。これを発展させて野球、ソフトボール、バスケットボールなどの各種ボールの他、果物に見立てたデザインのオリジナル貯金箱も開発し制作している。

このように同社では、付箋・ノベルティのオリジナル商品で新規顧客のニーズに応える『実用新案本舗』の事業が好調だ。1点ずつ検品を行う品質第一の理念による品質力が、業績アップの最大の要因であるが、独自の形状・サイズ、デザインを求める顧客にも同社からデザインを提案し、顧客のニーズに応えていることが、売上増に繋がっていることは確かである。

立体パズル式貯金箱や各種ノベルティの開発にも注力

事務所ではこれまで制作した「オリジナルふせん」の数々を陳列している
事務所ではこれまで制作した「オリジナルふせん」の数々を陳列している
立体パズル式の各種貯金箱
立体パズル式の各種貯金箱

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