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(176) 昌和印刷株式会社

「空間デザイン事業部」で価値ある店舗デザインを企画提案

空間デザイン部 課長
篠原 美恵氏

今日の販促物は、データに基づいた売れるマーケティング・企画など、顧客のニーズに沿った最適なソリューションを展開していかなければならない。昌和印刷(株)は、長年、企画制作から物流まで一貫生産で広告販促制作を推進し、売上の大部分を販促部制作が占めている。同社は2年ほど前から、数値化したデータを使った顧客の商品パッケージや什器類の制作を行うと同時に、「空間デザイン事業部」を立ち上げて価値ある店舗やブースなどの空間デザインの企画提案・製作を推進している。同事業について空間デザイン部の篠原美恵課長に取材した。

昌和印刷株式会社

東京都中央区日本橋大伝馬町12番9号
http://www.showa-print.com

視線予測システムと高機能アイカメラで消費者の行動・目線をデータ化し解析

販促物制作を専門にしている同社は、数値化したデータを基に、クライアントに的確なマーケティングデータの提供・分析、販売における問題解決を提案していく必要があるとし、一昨年に視線予測システム（VAS）と高機能アイカメラ（米国製）を導入し、販促制作の事前と事後の両面から検証を行う事業を始めた。

それに伴い同社では、店内のビジュアル・マーチャンダイジングの重要性がますます増して来ていることを受けて、「空間デザイン事業部」を立ち上げ、価値ある空間デザインをクライアントに提供することも始めた。

「什器制作の流れから、とくに物販店のフロア構成、陳列・棚づくり、照明・配所に注力し、消費者の行動にマッチした店舗デザインを提案・提供しています。営業は既存顧客よりも新規の顧客開拓に注力しています」（篠原課長）という。

前述の視線予測システムと高機能アイカメラは、来店した消費者の行動をデータベース化し、そこから行動を解析できるのが特長だ。店舗に訪れる消費者が店内をどう見て歩き、商品や棚のどの部分に視線を送っているのかなどのデータを取得して、アイトラッキングマーケティングデータとして消費者の行動を解析するというもの。

同社は、このデータから、次の商品のパッケージデザインや什器類の制作に活かして、クライアントの納得を得て、より効果的で売上アップにつながる販促制作を展開するというわけである。

空間デザイン事業部では「店舗デザイン」、「アイトラッキング」、「ブースデザイン」、「トータルプランニング」の4つから構成されているが、現在は店舗デザインを中心に展開しているという。また「販促ツールを50年にわたって推進してきて、多くの実績とノウハウを持っています。単なる店舗デザインに留まらず、店舗什器の制作、販促物・ＰＯＰ制作、サインディスプレイなどの制作をトータルプランニングにして、ワンストップで提供することができます」（篠原課長）。

また、ユールボードといわれる紙製のボードを使って棚、什器やテーブル、椅子などを設計・製作し、環境に優しい独自の製品を作っている。ユールボードは軽いのに中芯がハニカム構造になっていて強度があるため、オフィスや住居のインテリア家具としても使えるのがメリットだ。「什器類は商品開発に合わせて定期的に作るものです。スケジュールがタイトで短納期化に対応しなければなりませんから、取扱いやすい商材が好まれます。ですから、ユールボードは適した素材だと思っていますし、お客様からの評判も良いです」（篠原課長）とのこと。

制作は紙やクロスなどをインクジェットプリンタで印刷し貼り付けて完成されるため、デザイン性が重視される。

「店内でビジュアルを活かしたデザイン、グラフィックを多用した空間づくりでサポートできればと考えています。お客様とのコミュニケーションに重きを置いて取り組んでいますので、単なる相見積りを出させていただく営業ではなく、しっかりと打ち合わせをして、その点をご理解いただき、高品質で付加価値の高い提案を心掛けています」（篠原課長）と、他社との差別化を図っている。

同社では、マーチャンダイジング用だけでなく、独自に子供向けのテーブルやイス、玩具、またダイスボックス、ファンシーチェアなどの開発販売もしている。東京本社の7階にはユールボードを使った製品など、空間デザイン技術を展示したショールームを設けている。

今後、消費者の行動・視線からデータを取って科学的な側面から販促物を制作することが、市場で求められてくる。同社ではクライアントの売上に貢献していくために、空間ビジネス事業をますます積極的に展開していく方針だ。

環境に優しく丈夫な「ユールボード」を使った什器や家具を製作し販売も

消費者の行動・視線を解析する高機能アイカメラ

ショールームには制作事例としてさまざまな什器や家具を設置

掲載号（2015年12月号）を見る