月刊GCJ
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(177) 株式会社ショウエイ
培った画像処理技術を基盤に、創意工夫して後加工にも進出
営業部主任
辻 智和氏
昨年、社屋の移転、コーポレートロゴのリニューアルを行い、装いを新たにさらなる発展を目指している株式会社ショウエイ(GC東京)は、昨年6月、アートディレクターとコラボレーションし、和紙でサントリー「響」のポスターを創作し海外のコンテストに出品したほか、「MUSABI OPEN CAMPAS 2015」に新感覚のポスターも出展した。新しいビジネスにチャレンジする同社の姿勢が窺い知れる活動である。画像処理加工に加えて、後加工への取り組みに意欲を示した同社の作品2点について、営業部の辻智和主任に取材した。
- 株式会社ショウエイ
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東京都文京区水道2-5-22
http://www.shoei-site.com
ニーズに応えるために検証・テストを繰り返し試行錯誤の末に作品を完成
「JAPANESE HARMONY」をコンセプトに創作したサントリーの“響”は、博報堂のアートディレクターの池澤樹氏が、数々のコンテストに出品するのにあたり、ショウエイに制作を打診しコラボレーションで進められたプロジェクトである。作品は、そのアイデアとクオリティが高く評価され、世界最大級の規模を誇る「カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル」デザイン部門でシルバー受賞、アジア版カンヌライオンズともいえる「Spikes Asia」イラストレーション部門で金賞とポスター部門で銀賞のダブル受賞をした。
池澤氏との出会いは、「当社の大型UVインクジェットプリンターを使って広告を作られた時に、導入したばかりの小型レーザー加工機を見られて、紙に彫刻をして何か作りたいと言われていたのです」と、そんな経緯がプロジェクトに結び付いた。
この「響」のポスターは、サントリーのウイスキー「響」のラベルと同じ手すき和紙を使用して、レーザー加工機で彫刻し作成したものである。ポイントは「色調をウイスキーと同じ琥珀色を表現することでした」とのことで、この色を出すのが最大の難点だった。同社では池澤氏から入手したデータを画像処理し、グラデーション表現や細かい線を表せるように加工した。
しかし、和紙は填料を含んでいないために彫刻した際に灰が残らず、色が出ないという問題が生じた。和紙に拘らずさまざまな紙をテストして琥珀色を求めたが、上手くいかなかった。テストをスタートしてから約半年後、羊毛紙で琥珀色に近い色は表現でき、用紙会社に依頼し紙の成分を調べたところ、動物性たんぱく質が含まれているのがミソだと分かった。そこで、紙の滲み止めの役割があるドーサ引きに含まれる膠(にかわ)を和紙に塗布することで、琥珀色を表現することにしたのである。
「それでも和紙の吸湿量の変化や、和紙の表面の平滑度が一定ではないことから、一点一点微妙に異なり、1つとして同じ琥珀色で表現することはできません。満足できる作品に仕上がるまでに相当数の紙に彫刻し、企画を持ち込まれてから完成するのに約1年掛かりました。果てしないテストの繰り返しが続きました。レーザー加工機を販売されているコムネットさんに協力を仰ぎ、大型のレーザー加工機で彫刻していただき、大変お世話になりました」とのこと。
また、『MUSABI OPEN CAMPAS 2015』では、こちらもクライアントからの要望で、紙を立ち上げて立体的なポスターやパンフレットを作成した。ポスターは計8点提出し好評を博した。
「いろいろと検討した結果、切り込みの形は三角形がベストだと分かりました。それでも三角形のサイズと個数、アキのピッチなどをどうするかという検証に時間を費やしました。最大の問題は作品を仕上げるのに、三角形をピンセットで1個1個立ち上げて、絵として表現する必要があり、それを誰が行うかが問題でしたが、武蔵野美術大学の学生さんにご協力していただきました」。三角形の切り込みを1個1個計算して立ち上げることによってポスターに陰影を与えて、離れてポスターを見ると、絵として表現され、まさにアートと言える作品になっている。
このように、2作品はあくまでも作品づくりで仕事に関わったものであるが、今後ビジネスとして可能性を感じる作品になった。後工程の分野で付加価値の高いに仕事が可能だということを、内外に示したことになったのである。「創意工夫することにより、顧客のニーズに応えていきたいですし、技術を追求することで新たな展開が生まれることが分かりました。これからも新しい分野に挑戦し続けて『驚き』を提供していけたらと考えています」とのことだ。
作品づくりに関わったことで後加工の付加価値の高い仕事へ展開も

和紙に彫刻して制作したサントリー「響」のポスター

「MUSABI OPEN CAMPUS 2015」に出展したポスター。三角形のサイズ、個数、切り込みのサイズ、アキのピッチなどを検証し完成したもの(左)。三角形をピンセットで立ち上げた状態(右)
