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(228) サイネージネットワーク株式会社

デジタルサイネージの新市場を開拓するためにビジネスモデルづくりに取り掛かる

代表取締役社長
小林 博美

gcjの組合員10社が参加して設立したサイネージネットワーク株式会社は、ソフトバンク株式会社が受注した案件を同社が管理し、顧客の所在地に近い参加企業にコンテンツ制作を委託する方法で、デジタルサイネージ事業を進めている。だが、小売店や飲食店を一軒一軒営業し受注するのは収益性が低いことや、営業がなかなか伸展していないこともあり、現在では参加企業が独自の方法で事業に取り組んでいる。そんな状況下、同社では株式会社RUHIA RYUKYUが沖縄で展開している「美容院向けのデジタルサイネージサービス」の全国展開向けのビジネスモデルづくりや新ビジネスへの参入など、デジタルサイネージ事業の新たな局面を迎えようとしている。小林博美社長に、自社のデジタルサイネージ事業や「美容院向けデジタルサイネージサービス」などについて話を伺った。なお、同社ではgcj組合員を中心に、全国の異業種会社ともサイネージ事業でコラボレーションしていくために参加組合員を募っているところである。

サイネージネットワーク株式会社
本社 : 東京都文京区大塚5-22-3
TEL:03-3941-8980
https://signagenet.biz/

地元の企業・商店にアピールし地域創生に貢献するデジタルサイネージビジネス

サイネージネットワーク㈱では、参加企業がそれぞれの 営業力とコンテンツ制作力で、独自にデジタルサイネージのビジネスを展開しているのが特徴である。

同社の親会社である株式会社二葉企画は、福島支社を設立した直後に東日本大震災が発生したが、災害に負けないデータ管理システムを構築していたために、業務をストップさせることなく東京本社と連携して業務を続けてきた。そして、近年になって福島支店を拠点にデジタルサイネー ジ事業を開始し、地域活性化を促す役割も担っている。

実績としては、2018年に(一社)産業サポート白河との共同企画として、しらかわ地域企業13社の会社案内の動画コンテンツを制作。その後、地元企業の活性化促進のために新白河駅前にある東京第一ホテル新白河と連携を 図り、ホテルのロビーにサイネージを設置した。「地域の企業同士の連携やビジネスマッチングの機会を増やす場になればと思っています。今後も活躍の場を広げるデジタルサイネージとして期待されています」(小林社長)とのことだ。

また、白河市にある商業施設・マイタウン白河では、月に12,000人の利用者が訪れ、各種イベントが頻繁に開催されるため、2019年2月より周辺店舗の宣伝動画を発信するサービスを開始した。同社の業務は配信管理、コンテンツ制作、広告収集などで、こちらも地域店舗の情報発信の場となっている。

「弊社のテンプレート動画はお陰様で問い合わせが結構あり、企業のリクルート用の動画制作などを中心にさまざまな企業から問い合わせをいただき、制作を請け負っています」とのことで、白河市を中心に福島県の企業に少しずつ浸透しているようだ。「地域創生の意味合いからも需要を喚起していくつもりです。お客様は動画への関心が高まっています。紙媒体だけではニーズに応えることは難しくなっていますから、デジタルサイネージ事業にますます注力していくつもりです」と、意欲を示す。

一方、デジタルサイネージの需要を喚起するための全国展開が可能なビジネスモデルが必要だということで、 株式会社RUHIA(GC東京、森山正純社長)の沖縄現地法人である株式会社RUHIA RYUKYU(沖縄県宜野湾市) が開発し、沖縄県内で展開している「美容院向けネットワーク型のデジタルサイネージ」(タブレット)の活用を検討し ている。

しらかわ地域企業の会社案内向けデジタルサイネージ
しらかわ地域企業の会社案内向けデジタルサイネージ

「美容院向けデジタルサイネージ」を全国各地に展開するために具体的な検討へ

美容院向けデジタルサイネージは、㈱RUHIA RYUKYUが制作した独自の番組を配信するサービスで、美容院に来店する女性客向けに有益な情報番組を届けることによって、美容院の集客・収益に貢献していく事業である。サイネージネットワーク㈱の参加企業では、それぞれの地域の美容院にサービス展開していくことで、スポンサーからの広告収入を売上に繋げていくのが目的である。

現在、同サービスを全国展開できるように、サイネージネットワーク㈱では「どのようなパッケージサービスで展開していけば参加企業が営業しやすいのかを、参加企業と協議しているところです。課題は地域に関連した有益な番組をいかに作って配信していくかです。現在、RUHIAさんのご協力を仰ぎながら、そのノウハウやビジネスモデルをどのように構築すればよいのか話し合っているところです」(小林社長)とのことだ。

㈱RUHIA RYUKUが展開している同サービスの番組は二つで、東京の最先端のトレンド情報やファッション情報を届ける番組と、沖縄のママさんに向けた美容・子育て・ ライフスタイルに関する情報を中心とした番組の2本立てである。それぞれ動画コンテンツを制作し放映する中で、動画CMを見てもらうことで商品購入に繋がれば広告主の売上増となり、それによって㈱RUHIA RYUKYUは広告主から広告収入を得ることができる。そして、美容院は来店客に有益な情報を提供できれば、来客数の増加で売上 増に繋がるという、三者それぞれにメリットがあるビジネスモデルになっている。

さらに、「このほどソフトバンクの小会社が開始した『QRECS(キュレックス)』というデジタルサイネージビジネスがスタートしたので、そのコンテンツ制作を請け負うことができないか、ソフトバンク側と話し合っているところです」。『QRECS』はソフトバンクグルーブの子会社SBエンジニアリング㈱と、交通経路検索サービスを展開するジョルダン ㈱が共同開発したもので、商業施設や駅構内に商品棚と共に設置し、利用者は棚にある商品を見本として手にとって確認した後に、デジタルサイネージの画面上で欲しい商 品を選択する。画面に表示されるQRコードをスマートフォンで読み取ると、「ヤフー!ショッピング」などの電子商取引(EC)サイトに繫がり、購入の手続きができる仕組みになっている。

このように、サイネージネットワーク㈱では同志である参加企業と新しいプロジェクトに着手しており、新市場の開拓に乗り出したところである。今後の成り行きが注目されるところだ。

マイタウン白河に設置したデジタルサイネージ
マイタウン白河に設置したデジタルサイネージ