月刊GCJ
GCJビジネス開拓だネット
(221) 株式会社エフ・アイ・エス
独自のクラウド型発注システムを構築し高画質デジタル印刷で需要開拓
鴨居工場長
鈴木 久仁男氏
印刷通販サービスが浸透し、印刷業界の経営は高付加価値サービスで新規開拓していくことが求められているが、そんな状況下、Web上で発注管理を行うクラウド型発注システムを構築し、デジタル印刷に特化した経営で実績を上げているのが、株式会社エフ・アイ・エスである。同社は複写業から発展してきた企業で、2010年にデジタルプロダクションセンターを開設して、複写で培ったノウハウを活かしたワンストップサービスで印刷ビジネスを展開している企業である。同社のメインソリューションは、顧客自らが入稿したデータをデジタル印刷機で印刷するオンラインの仕組みを提供していることである。特筆すべきはデジタル印刷機の稼働率の高さが業界トップクラスであるという点だ。そんな同社のデジタル印刷戦略について、鴨居工場長の鈴木久仁男氏に取材した。
- 株式会社エフ・アイ・エス
-
本社:東京都品川区北品川3-6-6
品川御殿山ビル5階
TEL:03-6864-0911
デジタルプロダクションセンター:
横浜市都筑区池辺町3984-3
TEL:045-272-5579
https://www.fisnet.co.jp
デジタル印刷に特化した印刷ビジネスとワンストップサービスで市場開拓
デジタルプロダクションセンターでは、「HP Indigo7800」「HP Indigo7500」「RICOH ProC901」「RICOHProC5200S」のデジタル印刷機を保有し、さまざまな印刷物を制作しているが、特徴は独自のMISと「B-xross(ビークロス)」というインターネットを活用したクラウド型発注システムで、Web上で完結する印刷システムを構築している点である。
「B-xross」の仕組みを簡潔に言えば、顧客が印刷したい商品のテンプレートを自ら選択し、そのテンプレートを使って作成した印刷データを同社に発注するもので、Web上の管理画面から簡単に名刺や各種印刷物のデータ編集・制作及び発注ができるシステムになっている。
これによって、顧客には納期短縮、トータルコストの削減、在庫レスなどのメリットを提供することができる。また同社にとっても、顧客とのやり取りをする必要がなく印刷物の管理ができるため、コスト削減に繋げられる点がある。
しかも、ただデジタル印刷機で印刷するだけでなく、無線綴じ製本機(クルミ)、名刺断裁機、中綴じ製本機、PPラミネーター、折り加工機、自動断裁機、穿孔機などの後加工機も取り揃えており、ニーズがあればその都度対応している。
そんなワンストップサービスを展開している同社であるが、デジタル印刷機による高付加価値で高画質の商品を提供することを信条にしており、それが他社との差別化になっている。「6色印刷が可能なIndigoでは、滑らかで鮮明な高画質の印刷を実現できますから、フォトブック専門会社が当社を制作部門として使っていただいています。ほぼ毎日のように完全データがオンラインで当社のサーバーに送られてきて、そのまま印刷しています」と、鈴木工場長は話す。
またWebで結ばれていない顧客については、「営業担当者が直接訪問し、商品制作に関して顧客から印刷のデータを受け取り、プリプレス部門の制作担当者に渡してデータを確認し面付け作業してデジタル印刷機で出力しています。また、デザインから制作する場合は本社(東京都品川区北品川)にクリエイティブ部門がありますから、本社で一から制作するケースもあります」とのことだ。
また同社は2年ほど前に、キヤノンの「DreamLabo5000」を導入した。同機はRGBデータをCMYKに変換せず、そのままのデータで7色染料インクを使って2400dpiの高解像度で印画紙レベルの品質を実現できるデジタル印刷機である。しかも両面印刷にも対応しているので印刷のバリエーションが豊富である。
このようにフォトブックや高画質の印刷物をデジタル印刷機で実現している同社であるが、特筆すべきは、稼働率の高さである。オフセット印刷機に限らずデジタル印刷機についても一般の印刷会社の稼働率は30%程度と言われているが、同社のIndigoに関しては70%ほどを維持しているという。独自のクラウド型発注システムときめ細かい営業展開が功を奏しているからだと言えよう。
中小のフォトブック専門会社では、高額なデジタル印刷機を導入してネット通販のワークフローを構築するのは資金的に困難であるため、そのような会社を設備面でサポートできるのが同社の強みである。また、制作でも媒体の規格や形状、紙などに関してアドバイスできるノウハウを持っているため、新規参入の顧客にとっては頼りになるわけである。そのため、中小の高画質商品を販売する顧客を対象に需要開拓し業績を上げている。このように付加価値の高い商品制作をサポートしているのが同社の特徴である。
しかし、将来は紙のビジネスが減少していくことは避けられないため、紙出力する以外のデータを扱うビジネスにも取り掛かる構想がある。「当社は複写業からスタートしたこともあって、お客様の企業内で直接、コピーやドキュメント処理などの業務を受注するインプラント事業を展開していますから、お客様のニーズや悩み事を身近に聞くことができるのが強みだと思っています。その利点を活かして媒体制作だけでなく、お客様の業務の効率化、人材コストの削減でお役に立てるようなビジネスも手掛けていきたい」とのこと。このように同社ではインプラントビジネスの強みを活かして、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業に乗り出していく考えを持っている。

デジタルプロダクションセンターの外観
高画質印刷ときめ細かい営業展開でデジタル印刷機は高い稼働率を維持

1階にデジタル印刷機を設置。吹き抜けの構造になっている
