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(213) 株式会社技光堂
透明樹脂に立体感のある印刷と高精細な金属調の印刷を実現した新技術を確立
営業部
北郷 皇氏
工業製品の特殊印刷を中心に、企画・デザイン・印刷から加工までの一貫生産を行っているのが株式会社技光堂である。同社はこれまでヘアーライン、スピン、バイブレーション、鏡面、エッチング、エンボスなどのさまざま処理を経て金属で仕上げて納品していたが、それらを印刷で表現することに成功した。それが『立体視・金属調印刷』である。この技術は、透明な樹脂素材を立体的かつ本物の金属と見間違えるほど高精細に表現したもので、2017 年度板橋製品技術大賞で優秀賞を受賞し、今後さまざまな製品に応用が利くとして期待が寄せられている。同社営業部の北郷皇氏に『立体視・金属調印刷』について取材した。
- 株式会社技光堂
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本社 : 東京都板橋区板橋2-15-3
http://www.gikodo.co.jp
表面が平滑で金属と見間違える仕上げで、しかも環境に優しく低コスト化を実現
『立体視・金属調印刷』の開発を提案したのは佐野雅一社長だった。「社長が金属を加工して製作していたのを樹脂に印刷できるのではないか、という発想をされて、それで私たち社員に考えてみてほしいと言ったのがそもそもの発端です。それで試行錯誤を重ねて、完成させることができました」と、北郷氏は言う。
通常は、アルミや銅などの金属板に文字を刻んだり、エンボス加工を施したりするのが一般的な製作方法になり、同社もその加工で長年続けてきている。
「金属で製作する際は、表面にあえてデザインされた傷を付けて加工するわけですが、それをバイブレーションと呼びます。当社が開発した立体視・金属調印刷では、それを印刷で表現できるようにした点が画期的なところです。樹脂に印刷するため表面を触っても凹凸状になっておらず、平滑なのが特徴ですが、エンボスやヘアーライン、スピン、バイブレーション、鏡面、エッチングなどの金属調に見える特有の柄を表現することができます。特に、スピンの表現は当社にしかできない技術だと思います」。そして、そのバイブレーション柄の上に文字やロゴマークを印刷することができるという。
「当社のお客様は工業メーカーが多く、計測機器や医療機器などの顔になる部分のロゴマークや製品名の印刷を受注し製作しています。製品に付加価値を与えるために、いろいろな柄を施した金属プレートを製作するのですが、金属を代替えするものとして、この立体視・金属調印刷で製作したものを提案していくつもりです」。
見た目は金属と見間違えるほど高精細な金属調の印刷であるが、手で触ると柔らかい樹脂でできている。裏のシールを剥がして貼り付けられるように施していて、その画期的な印刷技術には目を見張るものがある。特殊印刷が得意だからこそ、成し得た技術と言えるだろう。
印刷ではスクリーン印刷機を使用するが、オフセット印刷ほど簡単ではない。ベテランの印刷オペレーターが手作業で仕上げており、作業工程を見ていると、それ相応の技術が必要なのが窺い知れる。
制作方法は、顧客と打ち合わせをしてデザインが決まると、文字や金属製品サンプル。スピンやヘアーラインを見事に表現している調のデザインをデータ化するDTP作業を行う。この段階で希望の金属柄を作成する。「金属柄の印刷を本物の金属と全く同じ形状にします」と、北郷氏は語る。
次にデータ化したデザインをフィルムに出力し、このフィルムを露光機にかけて現像し印刷の原版を作る。そして、スクリーン印刷機で印刷するが、最初に透明樹脂素材のフィルムに透明インクで金属柄を印刷する。それによってメタリックな模様が現れる。次に文字や柄などの部分にシルバーを印刷し、立体視させたい部分に透明インクで印刷すると、凹凸の感じが現れてくる。さらに鏡面インクで金属の質感を出していき、最後に黒インクで透けを防止すると、立体視・金属調印刷が完成するというわけだ。見た目は金属そのもので、光の反射が自然で文字もしっかりと立体に見える。
「立体印刷に関しては、独自の印刷パターンとインクの厚さを調整することにより、光と影を生み出して立体感を出しています。DTP、製版、印刷のそれぞれの部署間で、何度もデータや版を確認し合って試作品を作り、完成させていきます」とのことだ。
この技術の最大の特長は「金型を作成しないで立体感を表現することができるため、本物の金属より安価に製作できて、金属エッチングで使用する際の廃液や有害物質を出さない環境に優しい製品づくりを可能にしたことです。また、表面が平滑なので表面汚濁を防止できることや、高級感を損なわずに製作できる点、さらに素材コストの削減、製品の軽量化・薄型化、着色・腐食防止、金属部分から同一面に透明窓を作成することができます」と、金属加工にはない多くのメリットがあるという。
同技術を確立し、独自の製品を開発できるようになったことは、大きな武器を持ったことになるため、社員は仕事へのモチベーションが向上する要因になるだろう。それは会社にとっても大きなメリットである。
現在は医療や光学機器メーカーなどの既存の顧客の金属代替製品として提案しているというが、一般ユーザー向けでは遊び心のある商品から耐久消費財に至るまで、幅広い製品に展開できることから期待が寄せられている。

製品サンプル。スピンやヘアーラインを見事に表現している
社員のモチベーションの向上と幅広い製品づくりで需要喚起を目指していく

スクリーン印刷機を駆使して印刷。技術が求められる現場である
