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(223) 株式会社ユーメディア

多彩なメディアで地域社会に情報価値を提供するコミュニケーション支援企業

代表取締役社長
今野 均

2020年1月で設立60年を迎える株式会社ユーメディア。東北で初めてオフセット輪転機を導入し、地域の抱える課題を印刷を通じて解決してきた。1992年には現在の社名に改称して、コミュニケーション支援企業として事業を展開している。CSR活動にも熱心でそれに関する受賞や認証も多く、さらに注力しているところだ。現在、地域の活性化に寄与するさまざまな事業を展開しており、多彩なメディアを地域社会に発信している。それが実現できるのも、働きやすい環境・体制を構築し、社員の自主性を促す組織づくりをしていることが要因だと言えるろう。今野均社長に取材し、同社の経営理念、事業内容について伺った。

株式会社ユーメディア
営業センター:宮城県仙台市若林区土樋103番地
TEL:022-224-5151(代)
印刷センター:宮城県仙台市若林区六丁の目西町4-12
TEL:022-288-6015(代)
https://www.u-media.jp/

地域と向き合い、地域に根付いた独自のメディア・コンテンツを創出する

「ステークホルダーが自社に対して抱くイメージや信頼性をさらに得られるように、ブランド力を高める『コーポレートブランド推進室』を設けました。市場での競争優位性や顧客の満足度の向上、従業員のモチベーションアップに繋げていきます」と、今野社長はさらなる企業価値を高めていく方針を最近打ち出した。これまで顧客と地域のためにイノベーションを続けてきた同社であるが、先代から受け継がれる革新と挑戦のパイオニア精神を一層推進していく考えを示す。

現在、同社を中核に『せんだいタウン事業S-style』『大人のためのプレミアムマガジンKappo』の制作を手掛ける株式会社プレスアートと、地域密着型コミュニティエフエム『ラジオ3』を運営する株式会社仙台シティエフエムの3社でグループ企業を形成し、多角的に事業を推進している。それらが一体となって仙台市はじめ宮城県のメディア・コンテンツを創出し、コミュニケーション支援企業として独自の事業を進めている。

事業の特徴は自社開発のメディア・コンテンツである。地域と向き合い、地域に根付いた独自のメディア・コンテンツを創出していることだ。蓄積したノウハウと手法が新たな事業や制作に活かされ、付加価値の高いメディア・コンテンツを次々と生んでいる。列挙すると、仙台・宮城の人・企業・地域・街を活性化する『せんだいタウン情報machico』、毎年9月に開催するドイツビールと東北ビールの祭典『仙台オクトーバーフェスト』、杜の都のワイン祭り『バル仙台』、仙台の横丁カルチャーを体験できる自由系イベント『仙臺横丁フェス』、食を通して東北227市町村の魅力を発信するカフェレストラン『Route227s'CaféTohoku』、仙台市サンモール一番町商店街で展開するおいしい出会いのある市場『伊達美味マーケット』、そのうまいものを紹介するメディア『伊達美味』、宮城・仙台の学生たちが編集員となって制作するメディア『COLORweb』のコンテンツを創出している。また、印刷分野のサービスでは顧客に3Dプリンティング技術で感動的なプリントを提供する『VisibleTouch』、オンライン名刺発注ASPシステム『WEBde名刺』を展開している(2019年10月末現在)。

「これらの事業を通じて“おもいを、カタチに。みんなを、ゲンキに。私たちのすべては、その実現のために。”を、ネクストビジョンに掲げていて、印刷を中軸にあらゆるメディアを通じてお客様と地域の皆様を結ぶ『コミュニケーションサポート事業』と、自社開発のメディア・コンテンツで地域の皆様を元気にする『メディアプロモーション事業』の両輪で事業を展開しています」とのことだ。

このように同社の掲げるネクストビジョンは、それ自体がCSRビジョンを包括しているものになっており、両事業を推進していくには社員の働き方に懸かっていると言っても過言ではないだろう。今後同社では、採用と育成を連動させるためにインターンシップのあり方を見直しているが、インターンシップはますます積極的に取り組んでいくとしている。

「今後は会社説明会を開く一括採用活動スタイルをやめようと考えています。学生たちに実際に事業活動に参加してもらって、共に働くことで将来の事業を一緒に考え、本気になって仕事がしたい学生を選んでいくようにするつもりです」とのことで、従来の採用方法をやめて学生と自社をじっくりとマッチングさせる採用方法を取り入れていく方針だ。

また、社員がベストを尽くせるように働き方改革を独自に進めてきたのも同社の特徴の一つである。社員一人ひとりの個性を尊重し、各自の能力を発揮できる多様性を活かしたダイバーシティ経営に取り組んできた。それによって、社員が主体的・積極的に仕事に関わり、労働生産性を高めるという働き方を定着させている。これによって、2018年には経済産業省より「新・ダイバーシティ経営企業100選」にも選定された。

また、かねてより建設を進めていた「新印刷センター」が2018年10月に完成。小森コーポレーションのH-UV搭載菊全判8色両面オフセット枚葉機『リスロンGX40RP』を導入し、新工場で事業を開始している。東北地方を代表する総合印刷会社として、ますますの躍進に期待を寄せている。同社のコミュニケーションサポート事業、メディアプロモーション事業は、それぞれの地域で独自の制作・展開の仕方が考えられるだろう。事業規模に関わらず他の印刷会社にも大いに参考にしたいものである。

新築した印刷センター
新築した印刷センター

CSR活動を通じて社員1人ひとりの個性・能力を引き出すダイバーシティ経営

営業センターの屋上には社名の看板も(左)/自社開発の紙媒体(右)
営業センターの屋上には社名の看板も(左)/自社開発の紙媒体(右)