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(198) 株式会社意匠計画
『リアルタイムレンダリングアニメーション』で修正変更を時短化
藤井 正英氏
パース制作のリーディングカンパニー、株式会社意匠計画では、CG・手描きのパースから各種イラスト、レタッチサービス、写真合成、動画まであらゆるパース制作を請け負っているが、このほど、動画プレゼン用のアニメーション制作で、ゲームエンジンを採用し短時間で修正できる「リアルタイムレンダリングアニメーション」を開始した。これによって、制作が迅速化しコストダウン化も図られ、アニメーション制作の受注拡大に繋がるとみている。同システムを使ったアニメーション制作について取材した。
- 株式会社意匠計画
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東京都新宿区新宿4-4-1 サテライト新宿ビル4階
http://www.i-keikaku.co.jp
ゲーム用エンジンを使って動画制作・修正の短納期化を実現しコストダウン
同社では、建築パースを中心に企業や商業施設、公園など、さまざまなパース制作を請け負っているが、近年では動画コンテンツのニーズが高まっている。
「これまでは3DCGのアニメーションを制作する際は、動画にするために静止画を1コマずつ制作して動きを与えていかなければなりませんでしたが、ゲームエンジンを用いることで、短時間でアニメーションの制作・修正が可能となり、お客様に大いにメリットを提供することができるようになりました」 (藤井正英氏)とのことだ。
ゲームエンジンは、ゲームやアプリケーション開発のためのソフトウェアで、パワフルなグラフィックエンジンと高機能なエディターで、高精細で美しいゲーム動画を制作でき、迅速にモバイル端末・ホームエンターテインメントシステム・PC・組み込み機器などマルチプラットフォームに対応している。そんな高機能のソフトを使って作られたパースは一見すると、実写と見間違うほどリアルで高精細な画像を制作することができるのが特長である。
「CGのアニメーションは、これまでは通常のCGソフトを使って画像を描き出していたため、1秒のアニメーションを作るのに大体30枚ほど画像を描き出さなければなりませんでした。仮に1枚描き出すのに1分掛かるとしたら、1秒のアニメを作るのに30分の時間を要していたわけです。それを短時間で作業できるようにするために、ゲームを作るためのソフトを使うことにしたわけです」(中村祐也氏)と、導入の理由を語る。
「実際に動かしている画像を録画することで簡単にアニメーションを制作することができるようになりました。そんなゲームエンジンを活用して制作したものが、『リアルタイムレンダリングアニメーション』になります」(中村氏)とのことだ。
「レンダリング時間が掛からなくなったことで、画像の修正・変更が大幅に時間短縮できるのが最大のメリットです。これまでは修正に1日、場合によっては数日掛かっていたのですが、1時間から数時間程度で作業を終えることができるようになって、お客様に修正した画像をすぐに確認していただくことができるようになりました。それによって、もっと違う見せ方を要求されてもすぐに対応できますし、当社からも別の見せ方を提案することもしやすくなりました」(中村氏)とのことで、作業の時短によるメリットが大きいことを強調する。
「当社としても時短によってコスト削減ができますから、同業他社より見積額を安価にできます。お客様もアニメーションの動画コンテンツを発注しやすくなることが考えられます。今日ではプレゼンテーションはビジュアルで見せる時代であり、動画コンテンツへの関心が高まっています。クライアントのニーズに応えるために高品質な動画コンテンツに対応していかなければなりません。素材感や光の演出などハイクオリティな制作を手掛ける上で、『リアルタイムレンダリングアニメーション』は有効だと考えています。今後、これを使ったアニメーション制作を1つの柱に成長させたいと思っています」と期待を寄せている(藤井氏)。
同社では建築パース制作で多大な実績がある。ただし、印刷物ではチラシ、パンフレット、広告などのグラフィックデザインから、Webサイト上で見る3DCGなど静止画が中心だった。しかし、今後は動画コンテンツの需要が伸びていくとみている。
「印刷会社さんのお客様で3DCG制作の話があった時に、自社で対応できない場合は、当社にご相談していただければ、コラボでお客様に提案しビジネスを進めていくことができると思います」(藤井氏)とのことだ。