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(242) 株式会社サイバーテック

マニュアルの共同制作・多言語対応・組版と電子化を実現する「PMX」を提供

代表取締役社長
橋元 賢次

企業のマニュアル制作を支援する株式会社サイバーテックは、このほど、自社開発のマニュアル共同制作システムを、「PMX」の名称でクラウド形式による提供を開始した。「PMX」は、マニュアルの共同制作・多言語コンテンツ対応・自動組版と電子マニュアルのスピード配信を実現するもので、クラウドサービスのため従来の面倒なシステム構築や運用保守を必要としないのがメリットである。また、Web ブラウザ上で操作するためシンプルで使いやすく、テレワークにも相性が良いシステムとなっている。多様化する業務マニュアルや取扱説明書、構造化が必要なドキュメントを制作している現場をサポートする「PMX」について、同社の橋元賢次社長に取材した

株式会社サイバーテック
本社 : 東京都渋谷区円山町 20-1 新大宗道玄坂上ビル 7 階
TEL : 03-5457-1770
https://www.cybertech.co.jp/

記述内容の正確性を維持しながら、作業効率アップを実現

マニュアル制作では記載している数値・価格などを改訂したり、テキストの内容を改訂したりすることが頻繁にあるため、制作会社や印刷会社はそれらに即座に対応しなければならない。その際に「ナレッジが属人化しているため退職や定年などによって改訂の品質が落ちる」「マンパワー的に不足するためマニュアル作成のリードタイムが長期化する」「紙媒体を意識したマニュアル作成者の場合、Webマニュアルなどの電子化への対応が困難」といった課題が生じてしまう。これらの課題はマニュアルの分量が増えれば増えるほど顕在化し、またトラブルも発生しやすくなるものだ。

そこで同社では、マニュアルの共同制作・多言語への対応・組版と電子化を実現するクラウドサービス『PMX』を自社開発し、マニュアル制作を展開している印刷会社や制作会社に提供を開始した。同社はマニュアル制作はもとよりDTP現場のワークフローも精通しているだけではなく、国内ベンダーとして日本国内のユーザーからの要望を吸い上げて機能強化を継続しているため、『PMX』は日本人にとってシンプルで使いやすいユーザーインターフェイスであるのが特長だ。

マニュアル作成は、クライアントが元データを編集サイド(印刷会社や制作会社)に送ってきた後、ライターに元データを送信しテキスト原稿を作成。作成したデータを編集サイドで修正して、クライアントがチェックするというのが一連の流れになる。クライアントと編集サイド、ライター、素材作成者など、制作に携わる者たちがいかに連携しスムーズに仕事が行えるかは、最適なワークフローの構築に懸かっているわけである。「マニュアル制作ではいかに作業を効率的に進めるかと共に、操作ミスなどが発生しないよう、いかに記述内容の正確性を維持するかがポイントになります。データをやり取りする際のミスをいかに無くすかも重要です。『PMX』はそれらの課題に対応し最適な共同制作を実現するためのシステムです」と、橋元社長は話す。

マニュアル作成の課題には、「デスクトップアプリは機能が多く在宅ワークに不向き」「ライティング依頼後のレイアウト調整が発生する」「メール添付での原稿のやりとりは煩雑」「改訂時のヌケモレやデグレート(バージョンの差異に伴う不具合・バグ)が頻発する」「翻訳会社への委託費が増加傾向にある」「類似製品やサービスの共通部分も全て手作業で改訂」「電子マニュアルはDTP校了後の作成となるため配信が遅延する」といったことが挙げられ、それらを解決することが求められている。

「『PMX』はWebブラウザで簡単に操作でき、テレワーク作業に適しています。テンプレート化と自動組版で標準化と平準化を実現し、ワークフローで編集業務とライティングをしっかりと分業できるのも特徴です。コンテンツは構造化しバージョン管理で改訂のモレを解消していますし、データベースによる一元化と共通化でコンテンツの再利用率も高めています」とのこと。さらに、「多言語化に対応するためにコンピュータ支援翻訳ツールと機械翻訳を活用していて、翻訳に要するコストダウンを実現しています」とのことだ。今回、サブスクリプション形式での提供とクラウドサービスでの利用を実現したことで、ユーザーは使い勝手が良くなり、面倒なシステム構築や運用保守が無くなった点もメリットである。

さらに「マニュアルは、通常は紙媒体を作ってから後からWebサイトや電子媒体を制作すると思いますが、『PMX』を利用しますと、責了後は自動組版による印刷と電子マニュアルの両方に出力できます」と、紙とデジタル両面からのスピード配信が可能だという。

またマニュアルには固有名詞や専門用語が多いのが特徴。同システムには AIによる校正支援(ゆらぎ補正)API(アプリケーション・プログラミング・インターフェイス)を搭載し、従来型のルール定義型ではなく、辞書登録不要のディープラーニング型による校正支援機能で「専門用語の誤字・脱字などの検出」「専門用語の前後における、ゆらぎ・接続詞などの関係性のチェック」「日本語として記述がおかしい個所や誤字・脱字の検出」などを実現している。これによって制作担当者の作業が割り当てしやすくなり、納期短縮・内製化が実現できて、マニュアルのクオリティ向上に繋がるとのことだ。

印刷会社が『PMX』を導入するメリットについては「クライアントから請け負うマニュアル制作や改訂版制作において、属人化しがちな状況を改善しつつ制作物のモジュール化により、コンテンツの共有化を進めることができる点が大きいです。そして、クオリティの向上と制作効率を高めることでクライアントからの信頼度を高めることができ、コストダウン、利益率アップに繋げることができます」という。現在、『PMX』は月額5万円(初期費用10万円)のライトコースと月額10万円(初期費用20万円)のスタンダードコースの他に、フル機能を有するアドバンスコースを用意している。

サブスク方式によるクラウドサービスで利便性が向上

『PMX』のワークフロー概要図

『PMX』の画面キャプチャー