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(192) 新虎スーパーラボ
「新虎スーパーラボ」を 共同事業で開設し、新聞 広告の校正出力を展開
㈱第一製版の竹ノ上社長(左)と㈱トーン・アップの富田社長
GC東京の株式会社トーン・アップ(富田和伸社長)と株式会社第一製版(竹ノ上蔵造社長)は、昨年6月3日、東京都港区新橋に「新虎スーパーラボ」を開設した。新聞広告の校正出力サービスのために富士フイルムのB2判枚葉インクジェットデジタル印刷機『JetPress720S』を導入し、事業展開している。また、各種デジタル機器も設置し「ものづくりの拠点」を目指しているが、画期的なところは当工業会の組合員同士による初めての共同事業ということだ。ラボ開設の経緯や今後について両社長に話を伺った。
- 新虎スーパーラボ
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東京都港区新橋5-20-4新虎サウスビルB1F
株式会社トーン・アップ
本社 : 東京都中央区銀座7-13-8 第2丸高ビル
URL:http://www.toneup.co.jp/
株式会社第一製版
本社 : 東京都港区虎ノ門5-8-13
URL:http://www.di-seihan.co.jp/
『JetPress720S』によるデジタル校正で高生産・短納期・低コスト化を図る
トーン・アップと㈱第一製版が、主要業務の1つにしているのは新聞広告の制作・製版・校正業務である。中でも「新聞の校正作業は、各新聞社の印刷特性に合わせた高度にカスタマイズされた作業を行う必要があります。送稿に関しては高品質であることはもちろんのこと、各新聞社のガイドラインに沿ったデータ制作が不可欠で、しかも安全で確実なデジタル送稿が求められます。新聞校正出力を短納期化で低コスト化していくためにはデジタル化が欠かせないと思い、高品質で定評がある富士フイルムの『JetPress720S』の導入を検討することにしたのです」と、竹ノ上社長は語る。
しかし、導入するためには工場を設ける必要があり、しかも1社だけでは資金的に難しい。そこで、同じ新聞広告製版の同業者である㈱トーン・アップと協業化を進めることになった。
「2015年4月に竹ノ上社長から『JetPress720S』が新聞広告の校正出力として有効だという話を聞いて、使えるかどうか技術的な確認を両社で行ったところ、これなら大丈夫となって共同利用で導入することにしました。コスト面の負担を半減できるのは大きいですし、同機を同業他社にも使えるようなパブリック的な環境にして、新聞広告の校正出力で業界全体の需要喚起になれば良いという目的もありました」と、富田社長は協業化に至った経緯と目的を説く。
しかし、『JetPress720S』を稼働させるだけのスペースを見つけるのには苦労したという。「都内近郊の候補地を60ヵ所ほど見て回りました。それでもう決めなければという最後になって、竹ノ上社長から好立地の物件があると紹介されたのが、このビルの地下でした」(富田社長)と、好立地を確保でき、「新虎スーパーラボ」としてスタートを切ったのである。
校正では新聞紙の薄紙を通すことになるため、同機を独自に調整し問題なく通せる状態にしたとのこと。日本新聞協会が定めている新聞輪転機の印刷特性を反映した新聞広告色見本プロファイル「NSAC」の色を運用できる、高度な色管理を実現することが不可欠であった。それらをクリアし、昨年6月から稼働している。
『JetPress720S』のメリットについては「高品質はもちろんですが、本機校正のような手間や刷り直しのロスがまずないこと。また、平台校正の約10分の1程度というスピーディな処理能力が挙げられます。そのうえ操作しやすく環境に優しい点も特筆すべきところです」(富田社長)と高評価している。
「今後は当ラボの存在を新聞広告業界にさらに周知させ、校正出力で使っていただくよう促して、稼働率をより一層高めていくことが目標になります。新聞広告は新聞購読に比例するものですから、先行きは決して明るいものではありません。将来的には新聞広告だけでなく、商業印刷の校正出力、あるいは直接印刷物を提供するサービスも視野に入れていく必要があるかと考えています」(竹ノ上社長)と、同機の能力を一層引き出してビジネスに繋げていくビジョンを示した。
なお、同ラボには、その他の設備として㈱トーン・アップが設置する最大サイズ2,500×1,300mmのフラットベッドタイプのUVプリンターをはじめ、デジタルカッティングマシン、断裁機、ラミネーターを設置し、さまざまな素材の後加工も請け負っている。「ものづくりの拠点として業界内外の方にサービス提供していければと考えています」(富田社長)とのことで、新事業にチャレンジしていく方針である。
将来はラボをものづくりの拠点として商業印刷やデジタル加工の場に

ビルのB1Fに『JetPress720S』を設置した「新虎スーパーラボ」

大判UVインクジェットプリンターは多種多様なメディアにダイレクトにプリント可能
