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GCJパーソンズ

(137) 吉本 浩司

スマートフォン調査を武器にベンチャーのPRを支援

企業が商品やサービスを市場に展開する場合、市場規模や販売予測、購買者層、商品イメージを調査することが当たり前になってきた。ターゲットに対して効果的な販促を行い、より確実に販売をしていくためであるが、IT技術の発達でアンケートの集計等のマーケティングがしやすくなったことで、定着している感がある。今回登場の吉本浩司さんは、MMDLаbo株式会社の代表取締役社長として、スマートフォン、タブレット、インターネット分野に特化したPRとマーケティングリサーチを事業展開している。多様化する市場で有効なマーケティング戦略を展開するために、インターネットリサーチを行い、消費者の動向分析とニュースリリースの配信まで顧客企業に適した方法をコンサルティングしている。仕事内容からコンテンツマーケティングのあり方まで、多角的に話を伺った。

吉本 浩司 YOSHIMOTO KOJI

PROFILE

1978年奈良県生まれ。大学を卒業後、2002年モバイル広告会社の株式会社アップデイトに入社。2004年グループのインターネットメディア会社に転籍。広告営業担当する。2006年に営業部長に、2007年に取締役営業部長に就任。2008年12月にアップデイトに戻り、メディア本部長に就任。2009年に常務取締役に就任。2011年MMD研究所を担当し所長を兼任。2013年6月末にMMD研究所を分社、独立し、MMDLabo株式会社の代表取締役に就任。

中小・ベンチャー企業にモバイル端末に特化したリサーチビジネスを展開

——昨年6月、MMDLаboの代表取締役社長になられましたが、どのような仕事をされているのでしょうか?

吉本現在の仕事についてお話しする前に、親会社である株式会社アップデイトについて触れておきます。アップデイトはモバイル広告・モバイルプロモーション、モバイルメディアに関する事業を展開しているのですが、企業の方からモバイルを利用している消費者のことがよく分からないというお話がちょくちょくありましたので、モバイルの市場調査の状況を調べますと、モバイル利用者の市場調査については当時どこも実施していなかったことが判明したのです。そこで業界発展に寄与できればと、当社が実施することになり、2006年にモバイルマーケティングデータ研究所(MMD研究所)を設立しました。インターネットリサーチによって、消費者のデータを分析・集計し、調査レポートを作成し、MMD会員やインターネットメディア等へ記事提供、ニュースメディアへリリース発表などを展開していったわけです。

——MMD研究所の収益はどのように・・・。

吉本当時、事業自体は利益を生み出していませんでした。親会社の広告の売上で賄っていました。2011年に私が研究所の所長に就任した時のミッションは、研究所の事業をマネタイズすることでした。アプリベンダーやWebメディアなど約30社とリサーチパートナーを提携し、全国約60万人にインターネットリサーチを行っています。当社は、市場リサーチしたデータを集計し、レポートにまとめたものを発表します。発表先はIT、ビジネス、経済に特化したニュースメディアになります。

——なるほど。では、新商品の販売に伴い市場のニーズを知りたい中小企業のためのリサーチということでしょうか?

吉本そうですね。当初はリサーチビジネスを中小企業やベンチャー企業を対象に考えていました。ただ、ベンチャー企業の多くはアプリ等を開発しますと、まず市場に投下し、利用者に使っていただいた反応を見て、次回のアプリの改善に反映していく方法を採っているところが多いのです。

ですから、“完全な商品”を販売していくのではなくて、50%や60%の状態で作ってマーケットに投下し、利用者の反応を見ながら100%に近づけていくように、段階的に改善していく動きが見られます。当然ですが、市場リサーチへのニーズがないことが分かりました。

そこでリサーチビジネスが難しい状況であれば、ニュースリリースやPRに関しては長年取り組んできた実績がありましたし、さまざまな媒体の編集長とコネクションを持っていますから、ニュースリリースを扱ってもらいやすいのも当社の強みと捉えました。

中小・ベンチャー企業は広報やPRが苦手であることが分かりましたので、当社がその部分で後方支援できると考え、企業の広報・PRを事業の大きな柱として捉え、MMD研究所の事業をスタートしたわけです。それで1年程事業が経過して、収益性が見込めることが分かったので、MMDLаbo株式会社として昨年7月に分社化して事業を始めたところです。

PRの仕方、ニュースリリースの作り方を提案しニュースメディアに配信

——何を調査するかについては企業の要望は聞かれるのでしょうか?

吉本具体的な調査についての要望もあることはありますが、非常に少ないですね。基本的には当社でテーマを決めて調査していきます。モバイルの課題であったり、伸びていく分野にスポットを当てたりと、自主的に調査していきます。調査内容はニュースメディアに発表させていただきますが、どちらかと言いますと、発表することが私たちの会社の広報になっていたりします。発表したものはデータとしてファイルにしていますので、アクセスされた方がダウンロードできるようにしています。そうしますと、会員登録していただけますので、会員登録していただくと、当社にとっては見込み客ということになり、アプローチしやすくなります。現在、MMD会員は4万8,000人に達しています。調査内容を発表することで、お客様の知りたいことを私たちが実施することで、信頼感が得られ、それがアピールとなって、別のサービスを提案させていただくということになるわけです。

 つまり、MMD研究所という自前の調査サービスが自社の広報となり、見込み顧客を獲得することに役立っていて、且つ、IT関連の記者との繋がりを築けるため、お客様へ提供するPR力の強化にもなっています。

——では、ベンチャー企業の方にメディアで取り上げられるにはどうすれば良いか、指南されるわけですね。

吉本具体的に書き方とかをアドバイスしていきます。場合によってはリリースをこちらで書くこともあります。お客様の広報部門に入り込んで、担当部署の仕事を代行することも行っています。

印刷業の方にとっては、全く別の世界の話で関係ないと思われるかもしれませんが、印刷会社さんでもアプリの開発やインターネットメディアの立ち上げ、電子書籍、電子カタログなど、デジタル関係の商品を作られることがあると思います。それらのビジネスは今後ますます伸びていく分野ですよね。その際に中心となるデバイスがモバイル端末になります。いまはモバイル端末自体に注目が集まっていて、決済機能やTVの放映機能、センサー機能等が搭載されていますから、それをマーケティングに活用するケースが増えています。例えば、印刷業界ですと、AR機能による動画、ビーコンと呼ばれているセンサー機能を使って、リアルなマーケティングが可能です。スマートフォンは今や小さなコンピュータとして位置付けられています。

要は、軽くて安価になったことで、消費者の人たちの誰もがモバイル端末を持っていることがポイントです。従来のメーカー専用の端末ですと、それ自体を購入してもらうことが壁となり大変でしたが、皆さんが持っているスマートフォンがそのまま使えますから、利用環境は以前と比べて格段に良くなっています。ですから、これまで参入できなかった印刷会社さんでも、モバイル端末を利用したサービスやアプリ開発で、ハードルが下がり、ビジネスに参入しやすくなったと言えるでしょう。低コストで開発していけますから、上手く行かなくても低リスクですから経営に支障はないはずです。アイデア次第でビジネスとして成り立つ可能性があります。そういった新規事業でモバイルやアプリに参入される企業のPR支援をお手伝いし、サービス認知を高め見込み顧客からの引き合いを高める施策を実施しています。

Webサイトの集客は「知りたい」ことのコンテンツを可能な限り提供する

なるほど。ところで、コンテンツマーケティングが重要だと述べてらっしゃいますが…。

吉本コンテンツマーケティングとは、顧客獲得のためにメディアを作ったり、コンテンツをシェアしたり、配信したりするマーケティングを指します。そして、見込み客を集客するためのコンテンツ、クロージングに導くためのコンテンツ、リピートさせるためのコンテンツというように、顧客段階に合わせてコンテンツを提供するマーケティング戦略であることを念頭に置いてください。オンラインメディアで集客するためには、自社のWebサイト以外の導線をいかに増やしていくかが大切になります。方法としてはWebPRで被リンクさせ、SEO対策を強化し、ソーシャルメディアで拡散していきます。そのためには、ニュースメディアの記事になる有益なコンテンツの発信、有益なコンテンツの量産、検索エンジンから見つけてもらうコンテンツというのが鍵になります。また友達や知人に薦めたくなるコンテンツを制作することも重要です。

では、Webサイトの具体的な作り方は?

吉本トップページには潜在見込み客が興味を持つような「知りたい」分野がまとめられていて、体験できるコンテンツを配置することをお薦めします。次にカテゴリーページでは、「知りたい」記事が1つのカテゴリーで整理されていて、探しやすいページになっていることが大切です。そして、個々の記事ページについては、「知りたい」記事を1ページ1テーマで掲載し、その「知りたい」の答えが100%叶うコンテンツにしておくことが重要です。そして、サイト全体のデザインやテキストの書き方の整合性とページ単位での調整も必要になります。アクセスしてきたユーザーに徹底的に調べたい内容の答えを用意しておくことが、集客のコツであり、長く付き合ってくれる条件と言えるでしょう。

実は当組合では「GCのトビラ」というポータルサイトを開設したのですが、参考になりそうです。

吉本そうですか。コンテンツマーケティングを是非とも始めてください。組合のアセット(資産)としてWEB上に蓄積されますし、情報発信によって業界のリーダーシップを手に入れることができますし、何よりオンラインからの問い合わせが増えてきます。とにかく顧客の為に有益な情報を発信し続けることが重要です。ここでいう顧客は組合員さまになるので、組合員さまの印刷業務や自社製品・業界動向への理解が深まってくると思います。当社では今後、コンテンツマーケティングに関するセミナーを順次開催していきますので、お役立てることがあればいつでも声を掛けてください。

自前の調査サービスが自社の広報となり、見込み顧客の獲得やPR力の強化に役立てる

———— 吉本 浩司

MMDLabo株式会社のホームページ
https://mmdlabo.jp

掲載号(2014年9月号)を見る