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(217) 小島 昌也

小口現金と社員の立て替えをなくす「Bizプリカ」を提供

交通費など日々の小口現金のやり取りは、経理担当者、請求する社員それぞれに煩雑な業務である。クレジットカードで決済する企業も出てきているが、与信の課題、私的利用の問題もあり、簡単に全社員に対して導入できるわけではない。そんな小口現金と現場立て替えの業務を省く法人用プリペイドカード「Bizプリカ」を発行し、決済ソリューション事業を展開しているのが、TOMOWEL Payment Service株式会社である。同社は共同印刷株式会社の100%出資会社で、サービスを開始して1年数ヵ月で既に500社以上に「Bizプリカ」を導入しており、さらなる成長が期待されている。「Bizプリカ」を発案した取締役COOの小島昌也氏に、同カードのメリットを中心に話を伺った。印刷業界にとっても利用価値の高いプリペイドカードになるだろう。

小島 昌也 KOJIMA MASAYA

PROFILE

1980年長野県生まれ。2002年東京水産大学卒業。03年人材派遣会社に入社し、マネジメントの基礎を教わる。08年中途採用で共同印刷株式会社に入社。ビジネスメディア事業部に配属される。主に金融機関の顧客を担当しカードの製造・発行に携わる。カードビジネスの仕組みやノウハウを習得し、決済ソリューション事業に精通する。法人用プリペイドカード「Bizプリカ」を発案し、18年11月TOMOWEL Payment Service株式会社を設立し取締役COOに就任する。

経費を立て替える理不尽さが動機となって開発する

Q 「Bizプリカ」を発案された経緯について教えてください。

2008年に共同印刷(株)に途中入社し、ビジネスメディア事業部に配属され、主に金融機関のデータプリントや証券・ICカードの営業・製造販売、銀行の通帳を製作する仕事に就きました。そこで三菱UFJニコス(株)の専属の営業を行うことになって、カードの仕組みやノウハウを勉強するようになったのが、カードビジネスに関心を持つようになったきっかけになります。

それで今から3年ほど前に、ニコスさんが運用していた法人向けプリペイドカードのノウハウを使えば一般の企業でも同様の事業経費用プリペイドカードが運用できると考え、「Bizプリカ」を開発したわけです。本社に企画書を提示したところ認められ、社内ベンチャー「TOMOWEL Payment Service 株式会社」を設立し事業展開していくことができました。共同印刷が 100%出資する会社で、社員は現在7人です。メンバーの中にはシステム担当や運用担当のスタッフがいて、少数精鋭の部隊で奮闘しています。スタッフはビジネスの将来性を感じて事業に賛同してくれたわけで、同志であり大切な仲間だと思っています。

Q この事業を立ち上げようと思った動機はどこにあったのでしょうか?

営業担当者は特に、交通費や接待費で結構お金を使う機会が多いわけですが、私自身も前職で営業していた頃は地方に出張した時には月に何十万円も出費することがありました。でも、それらを全て自腹で立て替えなければならなかったのです。立て替えた経費は申請して1ヵ月後の給料日に支払われるのですが、1ヵ月も先である上に、小遣いが少ない若い社員にとっては大変な負担になります。

一方、部長や管理職になりますと、法人のコーポレートカードを支給されますから、そのカードで出張費や接待費などいろいろな経費を支払うことができました。そこで当時、コーポレートカードを持たせてくださいとお願いしても、「社内ルール」という理由で、一般社員は持たせてくれなかったのです。給料が多い管理職が経費を立て替えなくてもよいのに対して、給料が少ない若い社員が立て替えるということに、すごく理不尽さを感じていました。それを何とか解消したいという気持ちが「Bizプリカ」の開発の動機になっています。それでニコスさんの法人用プリペイドカードのノウハウを使えば、事業化して世の中に普及させていくことができると考え、開発に着手しました。

経理の業務軽減やキャッシュレス化でメリットは大きい

Q なるほど。「Bizプリカ」の仕組みや特徴について説明していただけますか

「Bizプリカ」は小口現金、仮払金の削減といった社内キャッシュレス化、公費と私費の区別や従業員の自腹立替えの削減というガバナンスの強化、さらには多店舗運営などの業務効率化を実現するものです。Web上で申し込みを行いますが、約2 週間後にカードが届きます。1枚月100 円の費用で何枚でも必要なだけ申し込みできて、従業員の誰もが保有することができます。

仕組みは、弊社の三菱UFJ銀行口座に原資のお金を振り込んでいただきますと、Bizプリカマネー(電子マネー)に変換され、お客様の「代表さいふ」が開設されますから、そこにプールした金額までを使うことができるようになっています。代表さいふを通じて従業員のカードにチャージして利用することになりますから、要はチャージして使用する「PASMO」や「Suica」と同じだと思ってもらって結構です。口座への入金額はお客様が自由に決めていただき、無くなば新たに入金して利用することになります。また、管理サイト上で発行されたカードの入出金のデータが全て管理できるようになっています。カードを保有している営業担当者ごとに入出金のデータが紐づけされますから、非常に管理しやすくなっています。

例えば、Aさんが「明日出張に行きますから、交通費含めて5万円ください」と言ってきたら、総務や経理の管理者の方がプールしてある「代表さいふ」からパソコンを介して5万円をAさんのカードにチャージすれば、Aさんは Mastercard の加盟店であれば、5万円の範囲内で使用できるということです。

カードを使用した履歴が全てデータとして残るようになっています。

Q そうなれば、経理担当者の経費に関する煩雑な業務が解消されますね。

はい。パソコン上に代表さいふの残 高、利 用可能 残 高、誰にいくらチャージしたとか、カードユーザーごとの利用可能残高も確認できます。また、利用日、確定日、加盟店名、利用金額も一覧で表示されますから、利用履歴が全て分かるようになっています。ですから、カードを使った社員の人たちも経理担当者に使ったお金をわざわざ申請する必要もありません。

世界中のMastercard 加盟店で利用できますし、利用状況をタイムリーに把握することができます。オンライン上で管理者が従業員のカードをコントロールすることもできます。また、取引データを経費精算システムや会計ソフトに連携することも可能になっていますから、利便性が高いです。

ただし、プリペイドカードですから、Bizプリカマネーの残高をATM 等で引き出すことはできません。それと一部の加盟店(ガソリンスタンド等)によっては、利用当日に利用通知メールが配信されない場合もありますから、注意してください。

Q ターゲットにされているのは全ての企業になるのでしょうか。

そうですね。総務部、経理担当者の業務を効率的にすることが目的ですから、全ての企業と言えるでしょう。営業担当者が多い企業に使っていただけたらと思います。弊社の親会社が印刷会社になりますから、印刷業界全体の生産性に貢献したいとの思いがありますので、印刷会社に導入してもらいたい気持ちはあります。ところで、このカード自体は親会社の共同印刷の自社工場で製造して、そのままお客様へ出荷することで、カード製造のノウハウを活かしたコストメリットを出しています。

 

自社ブランドカードのOEM供給に応じる用意もある

Q キャッシュレスに向かっている社会ですから、「Bizプリカ」の必要性を感じる企業は多いのではないでしょうか?

はい。「Bizプリカ」は経費の立て替えをなくすことが最大の目的になりますが、そもそも会社の中に小口の現金を置いておくことで生じる金銭トラブルを避けることができます。総務や経理担当者の業務効率化のために必要性を理解していただけるのではないでしょうか。実際、会社に伺って「Bizプリカ」を説明させていただきますと、経理担当者の方は利便性を即座に分かっていただき関心を示してくれます。そうなれば導入の話はスムーズに進みますね。2019年12月からサービスを開始したのですが、1年数ヵ月で累計導入会社が 500 社を超えました。小口現金のやり取りをなくすキャッシュレス化を考えますと、このサービスの市場はこれからまだまだ拡大していくでしょうから、それに対応できる営業力を強化していくことが弊社の課題になっています。

Q 確かに将来性があるサービスですよね。ただし、会社の規模によって関心度が違ってくるように思われますが…。

そうなのです。数名の小さな会社では必要性を感じてもらえず、数千人以上も従業員がいる大会社では却って敬遠されてしまいます。このサービスに最も関心が高い会社は数十人から数百人規模の中小企業や中堅会社で、ユーザーさんもその範囲の従業員数のところが多いようです。印刷会社では営業で外回りをされている方が多いでしょうから、交通費など現金を使われる際に法人用プリペイドカードがあれば、利便性が高いですし、経理の煩雑な業務も解消されて使い勝手があると思います。

それから、お客様から国際ブランドのライセンスが入った自社専用のプリペイドカードを作ってくれないかというお話をいただいています。つまり、弊社が OEMでお客様の専用カードを製造し、この仕組みを提供するというものです。現在、このサービスも検討しているところです。弊社の仕組みを使って自社ブランドのカードを作り、経費清算用のプリペイドカードを企業に提案したいと話されているお客様が出てきていますね。弊社としては一緒にカード事業を展開していきたいという声があれば、いつでも検討させていただくつもりです。

今は働き方改革で社員になるべく負担をかけないようにすることが求められています。その点からも現金のやり取りをなくすプリペイドカードは、社員には受けがいい施策と言えるでしょう。導入を検討してみてはいかがでしょうか。

Bizプリカ カード表面

 

給料が少ない若い社員が経費を立て替えるということに、
すごく理不尽さを感じていました。

————小島 昌也