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GCJパーソンズ

(139) 富田 眞司

元気なシニアをつくり、シニア市場を活性化させる

企画書づくりに関する著書を18冊出版し、その道では大家の富田眞司さん。ビジネスパーソン時代はさまざまな業界のマーケティングプランナーとして、企画能力を活かした仕事に携わってきた。73歳になった現在も、プランナーとして活躍される一方で、シニアマーケティングに着目し、シニアを対象にした企業のビジネスを支援すると共に、元気なシニアを増やしていく「日本元気シニア総研」を立ち上げ活動している。富田さんは企画会社に勤務していた30年ほど前から、既にシニア市場に関心を持ち、今日の超高齢化社会を予見し、さまざまな企画に取り組んできた。企画パーティを主宰し、1,300名に及ぶ人材を育成してきたパーソンでもある。同総研設立の経緯からシニアマーケティングの考え方、ビジョン等について語ってもらった。

富田 眞司 TOMITA SHINJI

PROFILE

1940年愛知県出身。1963年名古屋大学卒業後、広告会社に入社。以後、メーカー、販売促進会社、企画制作会社など6社でマーケティング・企画業務に就く。「A4・1枚究極の企画書」、「A4・1枚最速の企画書」「提案書・企画書がスラスラ書ける本」など、企画書に関する本を18冊執筆。現在は、プランナー業務、企画書づくり並びにシニアマーケティングの講師、一般社団法人 日本元気シニア総研代表として活躍。CSN企画代表、企画パーティ主宰。

シニア市場は大きく、豊富なビジネスチャンスがある

——シニアの定義やマーケットをどう考えてらっしゃいますか?

富田国は65歳以上とするなど、シニアにはいろいろな定義がありますが、私は、会社を定年退職しリタイアした人たちを指すことにしています。リタイアで生活が一変するからです。そのため、リタイアした後の人生をいかに過ごすかがテーマになります。例えば、退職後別の職場で70歳を過ぎて働いている人は、退職する前と比べて収入は減りますが、家庭環境やその人の生き方自体には大きな変化はありません。しかし、退職した後に仕事につかずに、そのままリタイアすると、生活環境が変わるだけでなく、自分の気持ちや奥さんの気持ちも変わってしまい、夫婦関係に大きな問題が生まれてきます。

仕事に行かず、ずっと家に居るようになりますから、自立したい奥さんにとっては自由が利かなくなります。お互い口を利かなくなり、あつれきが生まれてくるわけです。旦那さんには家に居てほしくないと思っている奥さんがほとんどですからね。

そこでリタイアを迎えた人たちの生き方について考える必要があると思ったのです。しかも、シニア市場は非常に大きいものがありますから、企業にとってはビジネスチャンスでもあるわけです。

——それが「日本元気シニア総研」の設立につながったわけでしょうか?

富田はい。実は何十年も前からシニア向けの企画は考えてきました。さまざまな企業からシニアマーケティングに関する企画の依頼があり、その都度企画を提案してきたわけです。ただ、シニア市場は今ほど注目されなかったので、ビジネスが育む土壌がありませんでした。そんな時代を経て、2011年に「元気シニアネットワーク」を立ち上げたのですが、それを発展解消したような組織が、昨年12月に設立した「日本元気シニア総研」になります。総研では1人でも多くのGTI(G:元気で、T:楽しく、I:生きがいを持って)のシニアを増やして、PPK(ピンピンコロリ)という理念の下で歩み始めました。

——どのような活動をされてらっしゃるのですか?

富田私たちは、日本に元気なシニアを増やすことを目的にしています。元気でなければ何もできませんからね。元気なシニアが増えれば、医療費や介護費用などの福祉関連費用の削減にも通じます。そこで各種研究や活動として、シニア向け事業を展開する企業や団体の支援をしています。シニアに向けたビジネスに対する相談やコンサルティングを行ったり、商品企画の支援・モニタリング、市場リサーチ、コンシェルジュ活動を展開したりしていきます。そして、元気シニアに役立つ商品やサービスが普及するよう販促活動を支援させていただきます。総研には分野ごとに研究委員としてシニアマーケティングのプロが在籍しており、シニアと企業の支援活動を行っていますので、お役に立てると思います。

シニアの生きがいづくりを支援し市場を活性化させる

——リタイアしたシニアへのビジネスチャンスは広がっているということですね。

富田ええ。リタイアしますと、私は4つのリッチ「金時健心」(富田眞司造語)が生まれると考えています。「金」は、お金のことでマネー・リッチを指します。これは収入の格差が生じるということ。お金に敏感になり、倹約になります。ビジネスする上でどのリッチ層をターゲットにするのか、設定が重要になります。次の「時」はタイム・リッチです。シニアは誰もが時間を持っています。その時間活用、時間消費としてビジネスは開けていて、大きな市場があります。

「健」は、ヘルス・リッチです。とにかく健康でなければ豊かな生活は実現できません。健康に関するビジネスが不可欠になります。最後の「心」のマインド・リッチについては、ほとんど取り上げられませんが、私はこれが最も重要だと考えています。元気なシニアは結構いますが、心が豊かな人は少ないのが実態です。向上心を持ち、何かに打ち込む心をもってもらうのも私たちの役割です。サークル活動、コミュニティ活動などにビジネスチャンスが出てきます。

——退職した後の人生も長いですから、いかに過ごすかが大切になってくるわけですね。

富田ええ。とくに4つめの「マインド・リッチ」の「シニアの生きがいづくり」が最大のテーマになります。「仕事をすることでの生きがい」「社会貢献での生きがい」「学習する生きがい」「趣味・スポーツでトップを目指す生きがい」「奥さん、孫、子供など家族の成長への生きがい」。これらの生きがいを支援するようなビジネスを提供していくことが求められてくるでしょう。

——そう考えますと、団塊の世代は大きな市場になりそうですが…。

富田団塊の世代はまさにシニア市場を考える上で、最大のターゲットになってきます。活動的で元気ですからね。現在、65歳以上のシニア人口は3300万人で、実に全人口の26%に達しています。私はそのシニアの人たちを独自の考え方で8つのライフスタイルに分けて、分析しました(図参照)。総研が対象としているシニア層は、①プレミアムシニア、②行動派シニア、③エンジョイライフシニア、④悠々在宅シニア、⑤アクティブシニアの5つのライフスタイルのシニア層です。一方、⑥リーズナブルシニア、⑦ぎりぎり生活シニア、⑧要介護シニアの3つライフシニアは資産や収入が少なく、また病気にもなりやすいシニアたちです。介護を要するシニアは企業で面倒をみるというよりも、やはり国や自治体などで解決策を見出してもらうのが本筋だと考えています。元気でリッチなシニアを対象にすることで、新しいビジネスを創出させていくのが目的です。

この8つのライフスタイルで見えてくることは、それぞれのライフスタイルに合ったビジネスを提供することが重要だということです。シニア市場が活性化すれば、日本社会にとって意義あることだと考えています。

池澤夏樹さんの作品

シニアの8つのライフスタイル分析

企業は市場の細分化、対象の明確化で、適した商品・サービスの提供を

——これだけシニアが増えているのに、シニアを対象にした商品やサービスがあまり聞こえてこないようですが…。

富田その最大の原因は、企業の間でシニア市場の実態がよくわかっていないからです。シニアをひとくくりにするとビジネスは失敗します。前述したライフスタイルによって生活や生き方が違いますから、それに合わせたビジネスが必要です。シニアの気持ちを理解しないまま、いくら良い商品を作っても意味がありません。また、「集客方法や販促手法が分らない」「情報が的確に届けられていない」「マスコミ広告の使い方に無駄がある」「シニア向けコンテンツがない」。といったビジネスの仕方にも問題があります。

企業の多くはシニアが求めている商品やサービスを企画することができていません。それは商品開発をする若い人たちが考えているシニア像と、実際のシニアとの間にズレが生じていることが大きな要因です。拡大しているシニア市場に適切な戦略・戦術が立てられていないわけです。そこで私たちがシニアのニーズを収集し、シニアと企業のパイプ役になっていくことにしたわけです。

——シニアの気持ちがわかっていない要因は何でしょうか?

富田最大の要因は、シニアの人たちはインターネットを使わない人が圧倒的に多いために、個人情報を把握するのが困難だからです。いま企業ではインターネットを介して調査する時代ですから、ネットワークで繋がっていないシニアは、望むと望まざるに関わらずマーケティングから除外されてしまうわけです。調査会社のシニアに対するデータは調査対象がかたより、実態がみえてこないものばかりです。データに登録されているシニアだけを調べますから、シニア層が限られてくるわけです。それでは実態に沿った正確なマーケティングは行えません。

——シニアの市場を掘り起こすためにはどうすれば良いでしょうか?

富田シニア市場を開拓するために、5つの需要創造を提案しています。1つはシニアが納得する、わけあり提案。なぜこの商品が安いのか、納得のいく販促施策を展開していくことです。次にシニアの体力不足を補う提案。体力が衰えることを助ける販促施策です。3番目はシニア向けコンシェルジュ型の提案です。商品の使い方を教えるなど、さまざまな相談に乗ることで商品購入を促すわけです。4つめがシニアの組織化及び組織活性型の提案です。シニア客を囲い込むための固定客づくりを行うわけです。最後にシニア需要を創造する提案型の提案になります。新しい暮らしや生活を提案する販促活動になります。

——なるほど。最後にシニアマーケティングのビジョンは…。

富田シニアマーケットは膨張し、「未体験時代」へ突入しています。企業は過去のシニアの概念のままでは失敗します。「学ぶ時代、働く時代、輝く時代」と位置付けることで、新たな市場を発見することができるでしょう。そして、市場の細分化を図り、ターゲットを明確化することでビジネスチャンスが生まれます。重要創造型のビジネスで、1社だけでなく、グループ、あるいはチームとなって、地道な提案活動をしていくことです。そんな活動を日本元気シニア総研ではお手伝いさせていただきます。

一般社団法人 日本元気シニア総研のホームページ
http://genkisenior.com/

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